time sharing house～日常茶飯事～ (ページ45)

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　「機嫌いいね、大ちゃん。オムライス美味しかった？」

　「うん！めちゃくちゃ美味しかった」

　よかったよかった、と頭を撫でられる。
うーん・・・完全な子ども扱い。
でもここに居る大人組はみんな俺に対してこんな感じの扱いだからな。

　「ほら、大ちゃんも荷物置いておいで。もう焼けるから、お茶淹れるの手伝って」

　「分かった！」

　オーブンのタイマーを見れば、あと数分で焼き上がると表示している。
荷物を置いて手を洗って、としていればいいくらいの時間になるかな。

　ひかの作るお菓子はみんなが食べ易い、程よい甘さだからいつも楽しみ。
楽しみが過ぎてテンション上がって、ばたばた歩いていると。
大ちゃん五月蝿い！なんて声がリビングから飛んでくる。

　それに軽く謝って、２階へ。
階段を上がったところで、ちゃんとすれ違う。
やっぱりさっきまでと違って、表情が晴れやかだ。

　「ちゃん、山田が痺れ切らしてるよ」

　「はいはい」

　いまから行きますよ、と階段を下りていくちゃんの背中を見送った。

　誰かが悲しいと自分も悲しい。

　でも、誰かがうれしいと自分のこと以上にうれしい。

　そんな気持ちが自然と湧き上がるのがすごいことだなんて、いままで知らなかったけど。

　教えてくれたのは、ここに居るみんなだ。

　相手を思いやる大事さは、得るの難しいかもだけど。

　順風満帆な『日常茶飯事』はそれを育ませてくれる。

　有り難いことだよね。

５day―――fin.