time sharing house～日常茶飯事～ (ページ31)

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　「おはよー！」

　圭人と約束した翌日の、まだ早めの時間帯。
課題が入った鞄と宿泊セットを持った俺と圭人は、元気よくハウスの玄関を開けた。

　玄関ホールで叫んだところで仕方がない。
ＬＤＫとを間仕切るガラスのドアを開ければ、リビングに数人の姿。
普段からここにほぼ住んでいるメンバーが居るのは、想像していたことだけど―――なにより珍しい人がひとり。

　「あれ？薮くんがいる！どうして？」

　社会人で、ほとんどこのハウスへ来ることのない薮くん。
彼がリビングのソファーへ座り、アイスコーヒー片手に寛いでいる。
見たところ、随分と優雅な朝を満喫しているみたいだけど。

　社会人で、髙木くんのように特殊な仕事でもない彼が。
どうしてこの時間帯にハウスに居るのか疑問に思っていれば。

　「居ちゃ悪いか？」

　「悪くないけど！仕事は？」

　「・・・・・・裕翔、今日は土曜日だぞ」

　夏休みで曜日感覚がなくなってしまっていることを、鋭く指摘されて。
一瞬、朝もカレンダーは確認したはずだけどなんて思ったけど。
何日なのかは見たものの、曜日までは確認しなかったかもしれないと思い返す。

　「じゃあ昨日から来てたの？」

　そう、と薮くんは頷いた。
昨日から居るってことは、昨夜は酒宴場になっていたのだろう。
簡単に想像できるその光景。
同じリビングでも、まったく雰囲気も違っているはずだ。

　「おはよう、裕翔に圭人。今日はバンド練習ないのか？」

　「おはよう雄也。そうなんだよね・・・それで課題しに来たの」

　ここでするほうが捗ると思って。
圭人が課題の入った鞄を示して見せると、髙木くんも納得の表情。
ちら、と目線を向けた先には中学生のふたりがローテーブルで課題を広げていて。
その後ろのソファーでいのちゃんがなにかの本を読んでいる。