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「あ、おかえり、いのちゃん。遅かったね」
「ただいま、ひかる」
間仕切りのないＬＤＫがガラスのドアを開けると広がっていて。
リビングのソファーに座り、ノートパソコンでなにやら作業していた彼が顔を上げて出迎えてくれた。
彼――光がこのシェアハウスの管理者だ。
俺より３つ年上の、在宅デザイナー。
「レポートの資料まとめてたらこんな時間になっちゃってた」
「そっか。テストの時期だもんね」
お疲れさま、ご飯食べるでしょ？
ノートパソコンを閉じた光は立ち上がり、キッチンへと歩いていく。
このシェアハウスで提供される食事は、光が作ってくれている。
自分でキッチンを借りて作ってもいいんだけど、俺はそこまで料理が得意ではない。
ここで暮らしているメンバーみんな、約１名を除いてみんな同じようなものだけど。
「ご飯用意しておくから。その間にお風呂入っておいで？」
今日も暑かったでしょ。
梅雨のベタベタもあまりいい気分じゃないけど、この数日は日に日に気温が上がってきていて。
こんな夜遅くでも歩けば汗が滲み出てくる。
どうせシャワーだけだから、とお言葉に甘えて先にお風呂へ。
一旦いま泊まっている部屋まで着替えを取りに行き、戻ってきて。
汗を流してすっきりした気分でリビングへ入ると、ダイニングの方から呼ばれた。
大きなダイニングテーブルの上に、食事が用意されていて。
俺が座れば、光はお茶を淹れて持ってきてくれた。
いただきます、と手を合わせて目の前に並ぶご飯へと手を付けていく。
「そういえば、ひかるだけ？」
さっき着替えを取りに２階へ上がったとき、どの部屋にも明かりは付いていなかった。
中学生のふたりは眠っているとしても、あとのふたりはまだ起きている時間だ。
みんなの寝泊まりする部屋は２階だけ。
光の部屋は１階にあるから。
「雄也は飲み会で遅くなるって。大ちゃんはラストまでバイト」
残りふたりのスケジュールを聞いて、居ないことに納得した。
雄也――�睫擇六纏�関連の飲み会が入ると早くても日付が変わってから帰ってくる。
大ちゃんは居酒屋かどこかでバイトしていて、ラストまでってなると・・・まだ終わってない。
大ちゃんは未成年だから０時までは働けないはずだし、そろそろ帰ってくる時間だと思うけど。
まかない食べてきてるなら、もうちょっと遅いかな？
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作者名：晶
| 作成日時：2019年10月26日 17時
