time sharing house～日常茶飯事～ (ページ19)

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　「侑李」

　廊下へ出てすぐ隣のクラスへと向かい、ＳＨＲが終わっていることを確認してからドアを開ける。
廊下側から遠い、日当たりがよくいまの時期は暑くて辛い窓側の席。
そこへちょこんと座り、教科書の詰まったリュックを机の上に置いて待っているかわいい子。

　俺の幼馴染で同じシェアハウスに身を寄せている侑李を呼んだ。

　いや、違うか。
正確には侑李がシェアハウスに住み、この学校へ通うことになったから俺が付いてきたんだ。
いろいろな事情が、そこには在って。

　「涼介」

　遅かったね、と俺に気付いた侑李が立ち上がる。
どうやらこのクラスはとっくにＳＨＲが終わっていたらしい。
確かに教室内に居る生徒の数も随分と少ないな。

　「待たせてごめん。帰ろう」

　俺のクラスは担任の話が長い、というのは有名。
まだ若い先生なんだけど、若いからこそなのか気に掛けることが多いだけなのか、しなくても分かっているような話までする。
逆に侑李のクラスはベテラン教師で、必要なことだけを伝えるから話は短い。

　どっちかっていうと、イメージ的にベテランのほうが話長そうなんだけどな。

　「さ、帰ろ」

　あのシェアハウスに住み始めるまでは、学校から帰りたがらなかった侑李だけど。
いまは帰ることに喜びを感じているみたいだから、内心ほっとする。

　一時の侑李は、ほんとうに見ていられないほど思い詰めていたから。

　「お昼、なんだろうね」

　メニューがなにであっても美味しいことには変わりない、シェアハウスの食事だけど。
なんてことない会話を繋ぎながら、侑李とふたり帰路に就いた。