time sharing house～日常茶飯事～ (ページ40)

今日:5 hit、昨日:6 hit、合計:143,496 hit

↓ ページ40

　「おい、ちょっと待てよ」

　ちゃんの手を引いていた俺の身体が、ぐんと引っ張られる。
なに、と思えば見知らぬ男がちゃんの肩を掴んで止めていて。
嫌そうな顔をしたちゃんは、その手を振り払おうと身を捩るけど。

　てか、乱暴なことしてんじゃねぇよ。

　「ちゃん、こいつ誰？」

　「さあ？全然知らない人。行こう、大ちゃん」

　ちゃんより背の高いそいつ。
この中で一番背の低い俺が睨んだところで、迫力なんて皆無だろうけど。
威嚇だけはしておかないと。

　ぎ、と睨み付ける俺。
ちゃんは冷えた目と声音で、心底汚らわしいって態度で示している。
カッと相手の顔に怒りが上ったのは分かったけど。
その一瞬、ちゃんの肩にあった手から力が緩んだのを見逃さない。

　「あんたなんかお呼びじゃないって」

　めいっぱい俺のほうへちゃんの身体を引き寄せ、あっかんべ、という気持ちで皮肉な笑みを浮かべてみせる。
もちろん、俺が来るまで必死にちゃんをナンパしていた相手に対する嫌味だけど。

　ちゃんは、あんたなんか――いや、あんた以外でも誰も相手にしないよ、って。

　ぐ、と黙り込んだ相手をその場に放置して歩き出す。
暫くは手を引いたままだったけど、充分な距離が離れたのを確認して横へ並んだ。

　俺、行く予定の店の場所知らないし。
身長が違う分、どうしたって歩幅はちゃんのほうが広いから歩き難いし・・・情けない話だけど。