#天然さんは（ym）※ym+ar+tk ページ43
「どうせ俺はちょうどいいブスだよ！」
やっべ、ちょっとからかい過ぎたか。
目の前で頬を膨らませ、拗ねている大ちゃんを見て焦る。
話の中、別に大ちゃんがブサイクだとか言っていたわけじゃない。
ただ俺が一番かわいいと思っている知念と比べた発言をしたのは確か。
いや、でも、自分の恋人がいっとうかわいいって思うのはふつうの心理でしょ。
それに大ちゃん自身、知念のことかわいいかわいいってよく言ってるし。
え？それとこれとは別？
見るからに不機嫌となった大ちゃんをどう宥めようか。
おたおたみっともないくらい焦る俺を救ったのは、たまたま後ろを通ったらしい雄也だった。
つか、こっちの楽屋に居るの珍しいね。
「え？有岡くんはかわいいよ？」
「へぇ！？」
興奮して立ち上がっていた大ちゃんの背後から、その顔を覗き込み。
驚きに目を見開いている表情に、にこりと笑うと。
「うん、かわいい」
もう一度、止めのように言い切った。
「な・・・なっ！」
「そもそも、なんで有岡くんがかわいくないってことになるの」
「あ、いや・・・」
言い難い、と口籠るけど。
じとり雄也に見据えられ、こうなった経緯を話せば。
なるほどね、と表情を和らげてくれた。
雄也って無表情とかになると地味に怖いんだよ。
「まあ山田にしてみれば知念が一番なのは仕方がないけど」
そんなに自分で自分を卑下しなくてもいいと思うよ？
ぽすぽす大ちゃんの頭を撫でると、そのまま指先は頬を滑り。
顔を真っ赤に染め上げている大ちゃんの様子を言及することもなく。
そのまま楽屋を出て行ってしまった。
「・・・大ちゃん、大丈夫？」
おそるおそる聞けば、全然大丈夫じゃないと細い声。
真っ赤だった顔はそのまま火が出るんじゃないかってくらい熱そうで。
ぷすぷす焦げたにおいがしてきそうなほど、ゆでだこだ。
へなへなとソファーに座り直した大ちゃんは、そのままぐったり顔を埋めてしまって。
大概大ちゃんも不憫だな、と思うんだ。
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作者名：晶
| 作成日時：2022年9月5日 21時
