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連絡もなく、家へ押し掛ける。
いまとなっては合鍵を貰ったこともあり、家主が不在でも上がり込む。
部屋の中にあるものはすべて自分のもの、とばかりに好きに使う。
冷蔵庫の中身だって、欲しければ勝手に貰ってしまう。
時々、涼介が自分で食べるように買っていたアイスを食べてしまっても。
しょんぼりした顔でいいよ、って許してくれる。
僕がその立場だったら、絶対に買ってこいって走らせると思う。
服に興味のない僕は、前から涼介のおさがりを貰ってた。
いまは泊まると次の日に着るものをクローゼットから漁る。
一緒に買い物へ行って涼介に選んでもらうこともあるけど、基本的に涼介の手持ちから気に入った服は貰ってしまう。
冷暖房の空調関係や、テレビのチャンネルだって僕基準。
僕の体感に合わせて設定温度は変えられるし、涼介が嫌がる番組でも気にせず観ちゃう。
―――よくよく己の行動を顧みてみれば、これでよくぞ怒られないものだなって我ながら感心する。
ふつうはここまで自分勝手にされると怒るだろう。
二度と家へ入れない、って断られる事案だ。
けど涼介はいつだって僕のこと笑顔で受け入れるし、仕方がないなって許してくれる。
「ほんと、なんでなんだろ・・・」
昨日はやっぱり、起こされるまでに起き出した僕を見てびっくりしていた涼介。
もしかして俺が起こしちゃった?って聞かれたから焦って首を振った。
よかったって安心した様子の涼介はなんとも微妙な表情をしていて。
時折見せる、あの顔は―――なにを思っているのか。
「なにが?」
「涼介のこと。なんでかなって」
そう、こんなこと悩み始めたの元はといえばゆーてぃの余計なひと言から。
あんなの聞かなければ深く考えずに涼介との関係を保てていたのに。
変に、意識することなんてなかった。
「そんなの簡単だよ」
「・・・え?」
「やまのことだから、知念に対しての答えなんてひとつしかないって」
自由気まま 好き勝手 #誰の家 君は特別
fin.
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作者名:晶 | 作成日時:2022年9月5日 21時