#それは困る(in)※yb+in+hk ページ1
「好きだ、って言ったらどうする?」
「・・・それはさすがに困る、かな」
ひとつ前に入っていた仕事を終え、メンバー全員での仕事現場。
荷物を置くために楽屋へ入ろうとしたところで聞こえてきた会話。
この、声は―――
内容が内容だからなのか、少し声のトーンを抑えたらしい会話。
聞き逃さないように、ドアに張り付き耳を澄ませる。
どくどく嫌な音を発てる心臓をどうにか抑えながら。
「でも俺は諦める気はないぞ?」
ガタン、とイスを引いたらしい音。
ガタガタ続く騒音は、中でなにかが起こっている証拠だけど。
開けられない、中へ入っていくことができない。
だって・・・だって。
楽屋の中で話をしているのは、声から察するに薮と光だ。
シンメと呼ばれるふたりは普段からなにかと仲が良いし、言葉にしなくても分かり合っている感がすごい。
それこそ薮とは同期で、光とは同い年の俺でさえ割って入れないくらいに。
「俺だって引く気はないよ」
そのふたりが、意味深な会話をしている。
明らかに誰か、想いを寄せる相手がいるような会話だ。
強気に言い募っているのは、薮。
困ったって言いながらも引くことはしないって宣言した光。
この会話だけじゃ誰の想いが誰へ向いているのかは分からない。
分からないけど―――
俺だって、困るよ。
だって、俺も・・・・・・
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作者名:晶 | 作成日時:2022年9月5日 21時