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 ごはんを食べてすぐ、抱き付いてこようとしたけいを避けた。
むっとした顔をされたけど、そのまま無視して逃げる。

 けいの苦手なタワーのおもちゃ。
壁に付けて設置してあるそれに、足を掛けた。

 「ひかる、待って」

 一瞬、嫌そうな顔をしたけいだけど頑張って追い掛けてくる。
たぶん俺の意図は分かっているはず。

 けいは運動苦手だから、積極的に動こうとはしなくて。
基本だらだらしているか、寝るか。

 運動らしい運動といえば―――ん、まあ・・・あれは、ね。

 ごはんを食べて寝る、を繰り返しているとそのうち。
きっと太ってしまうことになるから。

 けいは太ったってかわいいけど、プライド高いからそんな自分を許すなんてできないだろうし。

 だからね、こうして。
いつでも俺に触れていたい、というけいの欲を逆手にとって運動をするんだ。

 なにも言わずに付き合ってくれるけいは、ちゃんと気付いているから。

 「ほら、けい頑張って。もうちょっとだよ」

 低いところはまだ簡単に登ってくるけど、高くなると難しい。
だから俺は先に上り、けいが来るのを待つ。

 「ひかる・・・」

 次を登れば頂上。
俺は上でけいを待っていると、伸ばされる手。
ひかる、と呼んだ瞳が潤んでいるから。

 放ってなんて、おけるわけないでしょ。

 「―――っしょ、と・・・はい、到着」

 けいを引っ張り上げると、そのまま抱き付いてくるから落ちないように腕を回す。
頑張ったね、と頭を撫でればそっと見上げられて。

 ゆっくり、瞼が下されるから。
誘われるようにくちびるを寄せた。

 瞼に、鼻先に、頬に。
ぱっと目を開けたけいが、むぅとくちびるを突き出して不満を訴えてくるから。

 ふ、と笑うと・・・今度こそくちびるを重ねてキスをする。

 下りるのは意外と軽やかに。
とんとん、と下まで行くといつものクッションへ。

 「ね、ひかる・・・」

 「ダメだよ、けい」

 「どうして」

 けいと遅いならいいでしょ?
更なる触れ合いをけいは求めてくるけど、ダメ。

 遅いかも、とけいとは言っていたけど。
なんとなく早く帰ってくる気がするから。

 あのときの、特別かわいいけいを。
他の誰かになんて絶対見せたくない。


 俺だけのもの。









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作者名: | 作成日時:2018年7月23日 0時

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