a dream of a house〜日常茶飯事〜

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　事の起こりは、数日前の学校帰り。
新しい俺たちの『ハウス』に引っ越した後でも、暗くなってからのひとり歩きは禁止されていて。

　基本的には大ちゃんと時間を合わせて帰り、大ちゃんがバイトのときは光が駅まで来てくれる。
時に薮が待っている、という流れは変わらない。

　俺と光が恋人になったから、というのはあまり関係してないだろうけど。
大ちゃんが専科生になったことで、現場実習が多くなり。
バイトが入っていなくてもふつうに授業を受けていたときより、帰りの時間が定まらなくなったことで。

　ハウスまでの１５分ほどだけど、光とふたりきりになれる時間は格段に増えた。

　その日は大ちゃんがバイトだと前日から聞いていて。
朝ハウスを出る時点で、帰りは連絡してって光に言われていた。

　だから大学の最寄り駅に着き、電車に乗ると。
俺はいつものように光へ連絡を入れ、光からの返事を受け取り。

　内心るんるんと浮き立つ気分で改札を抜け、光が待ってくれている場所へ向かう途中で見てしまったもの。

　「告白されてた？」

　「そう」

　俺が帰ってくるのを“ここで待ち合わせね”と決めていた場所で待っていた光は。
高校生くらいに見える女の子――もしかしたら大学生かも？――から告白されていた。

　顔を真っ赤に染めて光へ想いを伝えていた女の子に。
光は困った顔をしつつも、即座に断っていて。

　ほっとしたものの、もやっとしたものを胸に抱えてしまった俺は。
光に声を掛けることも、近付くこともできず立ち尽くしていると。

　断ったにも関わらず、まだなにか言い募っている女の子に対しどう対処するべきか。
だんだんと表情を引き攣らせていた光が、ふと俺のほうへ振り返り。
ぼんやり立っている俺の姿を認めると、にこり笑って。

　ぽかんとしている女の子のことなんて気にする素振りもなく―――

　「呆然としてるその子を完全無視で、手を引かれて帰った、と」

　「うん、まあ・・・」

　それでなにが問題なの？
本気で分からない、といった風に首を傾げられると俺も口籠ってしまう。

　確かに、なにも問題はない。
光は告白を断っている。

　ただ―――俺の中に残ったもやもやだけが、気持ち悪くて仕方がないだけで。

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