a dream of a house〜日常茶飯事〜

・slipping one's mind...ideal（tk）※tkar ページ23

　この新しい『ハウス』に越してきてから、早１週間が経とうとしている。
みんなの関係性と空気感は全然変わらないけど、やっとハウス自体に慣れてきたかな。

　初めは物の配置とか、違和感を覚えることもあったから。
あと、部屋の広さとか。

　あ、一番変わったことあったね。
光くんと伊野尾くんが恋人同士になったこと。

　越してきた初日から、ちょっと怪しいと思う瞬間があったけど。
それが確信に変わったのは、有岡くんが自分のことのように喜んでいるのを見たから。

　有岡くんに知念、圭人はずっと伊野尾くんのこと気に掛けてたからね。
ほんとにうれしくて仕方がなかったんだと思う。

　その日の夜、就寝前のわずかな時間。
俺の部屋で話していた有岡くんが泣きそうになったのには、慌てたけど。

　そんな有岡くんは、あと１週間ちょっとで２１歳の誕生日を迎える。
去年はうっかり忘れていて、光くんにどやされた俺だけど。

　さすがに去年の二の舞は踏むまい、とばかりにいろいろ考えているところ。
有岡くんが喜んでくれそうなデート先がないか、スマホ片手に探しているけど。

　これがまあ、なかなか見付からない。

　実は今日も、そうだったけど。
お互いに時間さえあれば、有岡くんとはデートすることが多くて。
とはいえ、大半が俺の仕事に関係した先ではあるんだけどね。

　取材とかも兼ねてるから、否応にも仕事モードになってしまう俺がいても。
逆にそういうのを垣間見れてうれしい、って笑ってくれるからさ。

　どうしたって、その寛容さに甘えてしまう。

　だから、誕生日のデートはそんなの関係なく。
ただ純粋に有岡くんに楽しんでもらいたい、って気持ちが大きくて。

　それに、付き合って初めて迎える有岡くんの誕生日だからね。
デート先もだけど、プレゼントだって拘りたい。

　だから、妥協したくなくて。
あれこれ、それこそ少しの隙間時間であっても、スマホとにらめっこ状態な俺。

　いまもハウスのリビングで・・・

　「おい雄也、さっきからうるせぇぞ」

　夜遅い時間帯、リビングには俺と薮くん、光くんと伊野尾くん。
高校生組はすでに就寝済みで、有岡くんは―――昼間のデート後に、今日はラストまでバイト。

　「・・・え？」

　「だから、さっきら唸り声がうるせぇっての」

↓→←have a snooze・・・

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す