a dream of a house〜日常茶飯事〜

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　「ひかる、ここって・・・」

　「うん。ジュエリーショップだよ」

　お昼を食べ終えてから、残りの展示物を見て回り。
パンフレットと照らし合わせ、全部見たことを確認すると。

　次行こうか、っていのちゃんの手を引いて場所を移動。

　少し距離歩いたけど、電車とかバスに乗るよりはいいかなって。
いのちゃんの精神的にね、知らない人と身動き取れない場所にいるの疲れちゃうから。

　そうやって散歩がてら歩いて着いたのは、そこそこ有名なブランドのジュエリーショップ。

　あ、前にいのちゃんがモデルした、あいつのブランドじゃないよ。
さすがに本人は店にいないと思うけど、下手な関わり持ちたくないし。
そろそろ絶縁したいくらいだ。

　いま来たブランドに拘りがあるわけじゃない。
ただ調べてみて、一番近かったジュエリーショップがこのブランドだったというだけ。

　特にほしいものがあってきたんじゃなくて。

　「仕事の偵察？」

　「そう。今度ジュエリーブランドとのコラボ企画があってね」

　いままでは化粧品とのコラボはしたことあった。
洋服とのコラボも、経験ある。

　でも、ジュエリーはさすがに初めてで。

　どういうものをデザインするのかは、まだ計画段階だけど。
実際のショップではなにが売っていて、どんなサイズ感で・・・
普段自分がアクセサリーとか付けないから分からないことばかり。

　だから、こうして見に来てみた。
ほんとは時間があるときに、ひとりで来るつもりしてたけど。

　今後のためを思えば、いのちゃんも一緒のほうがいいかなと。

　―――アクセサリーの好みとか、指輪のサイズとか。
この機会に調べちゃおうと思って。

　「いのちゃん？」

　仕事の関係で来た、と告げた途端しゅんと落ち込んだ様子のいのちゃん。
一瞬、どうしてって思ったけど・・・

　ああ、そういうことね。

　「いのちゃんの好きなものあったら教えて？」

　「・・・え？」

　「さすがにここでは買わないけど―――――」

　こそっと耳元で囁くように伝えれば。
ぼっと音がしそうな勢いで顔を赤くしたいのちゃんは、ぽかんと口を開けたまま固まっちゃった。

　おーい、って目の前で手を振れば、はっと我に返ったけど。
まだ冷静になってないんだろうね、口はぱくぱくしてるけど声は出てない。
見開いてた目には、じわり涙が滲んできて。

　「入ろう？」

　こくん頷いたいのちゃんの手を引いた。

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