↓ ページ44
「・・・ん？」
大ちゃんの慰めで、漸く涙が止まったところで小さくノックされる部屋のドア。
誰だろ、って大ちゃんは首を傾げているけど・・・まあ薮でしょ。
まるで、ずっと見ていたかのような。
狙いすました、タイミング。
「伊野尾、話せるか？」
「ん、平気」
薮と話せば、また俺が泣くかもしれないって思ったのか。
大ちゃんが部屋から出ていくか残るか、迷っているけれど。
大丈夫だよ、と言えば薮と入れ替わりで出ていった。
たぶんいま、光には�睫擇�付いているだろうから。
大ちゃんもそこに行ったかな。
「ほんとは、お前が光に牙剥く前に聞くつもりだったんだけどな・・・なにがあったんだ？いや、なにを見たんだ？」
薮は十中八九、俺を迎えに来た時点で光との間になにかがあったと分かっていたはず。
それでも話を聞くよりハウスに帰ることを優先したのは、時間の問題もあったのか。
それとも、俺が光を全身で拒否するくらい怒ると思っていなかったからか。
「今日の昼間、ゼミのフィールドワークに行ってた先で―――――」
話さない、という選択肢はなかった。
俺の見たものを誰かに聞いてほしくて、聞いて否定してほしいと思っていたから。
そんなことないよ、って。
それは見間違いだよって言ってほしくて。
それに、薮がずっと大切にしてきた光を傷付けた俺のこと許さないだろうって。
正当な理由もなく、一方的に相手を中傷して。
言い分もなにも聞かず、徹底的に決め付けて。
話したところで許されるわけじゃないけど。
話したうえで怒られて、きっちり俺の悪いところを罵ってもらえたほうが―――
他人任せだけど、俺は光に謝れるような気がするから。
「光が女の人と居た？その人は妊娠してて、手を貸してた？」
「そう」
「偶然居合わせた妊婦さんを見兼ねたんじゃないのか？」
「でも光、すごく親しそうに笑ってた。その妊婦さんも『光くん』って呼んでるの聞こえたし・・・」
フィールドワーク先から、大学に戻ろうとしていた駅構内。
俺が通ろうとしていた改札の、反対側。
そこに居た光は、お腹の大きい女性と連れ立って歩いていて。
その人に手を差し出す光は、とてもやさしく笑っていた。
気を付けないと、大事な身体なんだからって声を掛けて。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 223人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「Hey!Say!JUMP」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
晶(プロフ) - りみさん» ご連絡ありがとうございます。ボードも確認しました。お返事お待ち下さいm(__)m (2020年6月4日 21時) (
レス) id: ff1d608c56 (このIDを非表示/違反報告)
りみ(プロフ) - 晶さん» ご返信ありがとうございます！長くなってしまいそうだったので、ボードへ書き込みさせていただきました。お時間ある時に確認していただけたら幸いです。 (2020年6月3日 21時) (レス) id: 8dd49b38a8 (このIDを非表示/違反報告)
晶(プロフ) - りみさん» こんばんは〜はじめまして。読んで頂きありがとうございます♪学生組から見た大人組・・・なんだか新鮮！状況にも依りますが追うとしたらhkかtkになるかと思いますが大丈夫ですか？もしよければ誰の視点か希望教えて頂ければ助かります('◇')ゞ (2020年6月3日 20時) (レス) id: ff1d608c56 (このIDを非表示/違反報告)
晶(プロフ) - さくっちちゃんさん» ありがとうございます〜よかった(´▽｀*)最後はそうですよね・・・私も慣れないのでひーひー言いつつ書いてましたｗ是非応援してあげて下さい！このシリーズになってからhkin少ないですが書きたいお話はあるので♪見守って頂ければと思います！ (2020年6月3日 20時) (レス) id: ff1d608c56 (このIDを非表示/違反報告)
晶(プロフ) - 水風雪さん» はじめまして。お読み頂きありがとうございます(*'▽')cnとarの女子会ですか！女子会になるだろうか・・・会話がいろいろ脱線しそうｗなんていまから不安でもありますが・・・ゆるりと考えてみますのでお待ち下さい (2020年6月3日 20時) (レス) id: ff1d608c56 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：晶
| 作成日時：2020年5月8日 19時
