↓ ページ26
『俺もそのくらいの時間になりそう。いつものところで待ち合わせね』
電車に乗って、それなりに混んでいたからドアの近くに立って。
ひと駅も進まないうちに背後を“この男”に取られてからずっと。
俺はその存在を、ただひたすらに無視し続けていて。
音楽を聴くためにイヤホンをしているし、なにか話し掛けてきているのは聞こえていないふり。
爆音で音楽を流しているわけじゃないから聞こえているけど、気付いていると知られれば余計に面倒だからね。
“この男”から見えないように、スマホを確認する。
こういうときは手帳型のカバーって便利だよね。
届いていたメッセージは２通。
ひとつは思った通りひかからの返事で『気を付けて帰っておいでね』って。
それは予想通りだったから、いいものの。
問題は、もうひとつのほう。
こっちは、ハウスの最寄り駅からハウスまで、ひとりで帰ることを禁止されているちゃんからのもの。
俺が終わる時間とか、帰れる時間が分かった時点でメッセージを送っていた。
時間が合うなら一緒に帰ろう、って。
俺とちゃんが一緒に帰れるなら、忙しくしているひかを呼び出さずに済むし。
ひかが無理なら薮ちゃん、っていう手もあるけど―――
ちゃんはあまり、薮ちゃん呼びたがらないからね。
気持ちは、分からなくもないんだけどさ。
俺たちとしては、身の安全を最優先してほしいわけよ。
でも、これは困った。
ちゃんは俺と帰れるから、とその旨をひか辺りには伝えているだろう。
いまから俺が無理になったからひかを呼んで先に帰っておいて、と言ったところで絶対に怪しまれる。
けど、このまま無視し続けたとしても“この男”は確実に、同じ駅で降りてくるだろう。
改札を出た辺りで諦めてくれればいいけど、そんな可能性０に近い。
最悪、ハウスまで付いて来てしまうかもしれない。
そのうえ、そんな状況でちゃんと俺が合流してしまえば―――
ああ、やっぱりダメだ。これは手を打たないと。
そう思って俺は、ひとつの連絡先を開く。
そこにぽちぽちメッセージを打ち込んで送信すると、すぐに返事があった。
それを見て、ほっと息を吐く。
これでひと安心、とスマホを鞄にしまって。
そのまま視線を窓の外へ向けた。
未だひとりで話し続けている、周りから見ると滑稽でしかない“この男”のことなんて存在しないものとして。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 305人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「Hey!Say!JUMP」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
晶(プロフ) - わらわそうさん» とんでもないです。先に違うお話からスタートかもしれませんが・・・��へと続く一歩にはなりますので。そこからのんびり続けていければいいかな、と思います(´▽｀) (2019年12月19日 1時) (
レス) id: ff1d608c56 (このIDを非表示/違反報告)
晶(プロフ) - わらわそうさん» なのですよね〜不思議ですよね〜（笑）ってめちゃくちゃ他人事ですけどｗこれからどうなるかは分かりませんので(￣▽￣) (2019年12月19日 1時) (レス) id: ff1d608c56 (このIDを非表示/違反報告)
わらわそう(プロフ) - 晶さん» こんな雑なリクエストを受けてくださりありがとうございます！！！出来上がるの、楽しみにしております！！ありがとうございます！！ (2019年12月18日 6時) (レス) id: 1c0b49b53a (このIDを非表示/違反報告)
わらわそう(プロフ) - 晶さん» なんとっ！！？？あんな、あんな恋する乙女のような顔をしていながらですか？！イケメンって罪なんですね...(TT)めっちゃ付き合って欲しい所でした^∇^ (2019年12月18日 6時) (レス) id: 1c0b49b53a (このIDを非表示/違反報告)
晶(プロフ) - まみむめももさんさん» はじめまして〜やっぱりじれったいですか？くっつけてあげたい気持ちはあるのですけど、当然問題は光くんでしてｗというより大人組全員が家族愛強すぎてどう脱出させようか、という感じですね〜気にして下さる方も多いので真剣にこれからを考えていきますね！ (2019年12月18日 1時) (レス) id: ff1d608c56 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：晶
| 作成日時：2019年12月10日 22時
