傷心 ページ14
『ヌナ、今日会えない？』
ジョンデから急に連絡が来たのはよく晴れた日の午後。
スタッフと打ち合わせから戻ってきたちょうどその時だった。
電話越しで聞こえるジョンデの声はどこか元気のない、空っぽみたいな、そんな声だった。
そんなジョンデが心配になって私は二つ返事でオッケーした。
「ジョンデヤー？」
ジョンデの仕事終わりに合わせて車でスタジオまで迎えにきた。
「ご飯食べた？お腹すいてない？」
CH「ううん、大丈夫」
痩せたというよりは、やつれたという言葉の方がぴったりだ。。顔色もあまりよくないし。
体調でも悪いのかな…
「どうする？宿舎戻る？送ってくけど」
体調が優れない人を連れまわすのも悪いと思って問いかけるけど、ジョンデは首を横に降る。
んー困った。
宿舎にはまだ戻りたくなさそうだし、
ジョンデと2人じゃカフェにも入りにくいしなぁ。
CH「俺、もうだめかも……」
ぽつりと呟くジョンデの声は震えていて、
脆く、今にも消えそうだった。
「とりあえず、ドライブでもしよっか？」
この様子じゃ結構行き詰まってるだろう。
少しでも気分転換になればと音楽をかけて真夜中のドライブへと車を発進させた。
「あ！この曲いいよね〜ジョンデも好きそう！」
スピーカーから流れてくる、少し切ないバラード。
ジョンデの声に合いそうだと鼻歌を歌う。
CH「うん、俺もこれすき」
ジョンデはふっと笑ってみせるけどやっぱり元気がない。
「はい、ついたよ〜」
目の前には漢江が流れている。
ジョンデにちょっと待つように言って、近くのコーヒーショップでコーヒーを２つテイクアウトして車に戻る。
「はい、どうぞー。外には出られないけど、たまにはよくない？流れる川をぼーっと見るのも(笑)」
時間も時間なので辺りに人はいないが、念のため外には出させないようにしないと。
コーヒーカップを持ちながら漢江に反射する夜景をぼーっと見つめるジョンデ。
「私も息詰まると、夜中に1人で車運転してよくここ来るんだー。スマホの電源を切って、ぼーっと川を眺めて何を考えるわけでもなく、ひたすら無心でいるの。
そうすると、すっごく気持ちが軽くなる。
また新たに頑張ろうってそんな気持ちになるの。
自分が自分でいられる時間を作ってあげるのってすっごく大事なことだよ？」
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作者名：蓮 | 作成日時：2018年6月30日 11時
