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しん、と部屋が静まりかえった。



さっきまで話していたはずの青江派と光世ちゃんもこちらを見たまま口を開こうとしない。


大包平くんも神妙な顔をしているし、さっきまでの和やかな雰囲気はどこかへ飛んでいってしまったようだ。




「ええ、そう思ってるわ」



大包平くんの顔が苦渋で歪む。


数珠ちゃんや光世ちゃん、青江ちゃんも顔を隠すように俯いた。



一緒に死にたかった、とは言ってもアタシを助けてくれた大包平くんたちを責めるつもりはない。


当たり前だ。



彼らの行動は"善意"から来ているものだから。





「でも、助けてくれてありがとう。おかげでこれからアタシはあの子達に償いができる」






確かに本音はあの子達と一緒に逝きたかった。





でも、それじゃあアタシは何も出来なかった。



あの子達に対する償い、詫び、弔い、謝罪、感謝。




なにも伝えられなかっただろう。何も形に残せなかっただろう。



これから、全てやるんだ。





「……そうか」



大包平くんは重々しく頷くと、口元に笑みを浮かべる。


青江ちゃんもにっこりと笑っていた。




「ふっはははははっ!!おい審神者!!!」



「あんた急に元気になったわね。なによ」




突然機嫌のよさそうな高笑いを始めた大包平くんを見る。

感情の起伏が激しすぎる。情緒不安定か。ついていけないわ。




「俺はお前のことが気に入った!光栄に思え!!この!俺に!気に入られたことを!!」


「あーはいはい。なんか知らないけどありがとうありがとう。光栄だわ」




あしらうように言うと大包平くんはムッとしながら「なんだその態度は」と言った。


それを華麗にスルーして光世ちゃんの方を向くと、彼は大包平くんとは真逆で不安そうな顔をしている。


そう、それはまるで捨てられた子犬のような……。




「死ぬまでずっと一緒なんでしょ。だったら長生きしなきゃね」



ぱあっと光世ちゃんの表情が明るくなる。

それでもちょっと……いやかなり暗いけど彼はあまり表情に出ないタイプなんだろう。そんな気がする。



「なんだ、此奴と契ったのか?」



「大包平くんあんたね……」

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翔、藍、love(プロフ) - 2話が抜けてるのですがただの3を打ち間違えただけですか? (2018年12月7日 14時) (レス) id: 32db5f9d5a (このIDを非表示/違反報告)
霧陰三文字 - あ、待って好き。← なんか始まったばっかりなのに泣きそうになってきました()更新楽しみにしてます! (2018年9月21日 1時) (レス) id: 4d70f7c8ca (このIDを非表示/違反報告)
雷雅 - 更新頑張ってください! (2018年9月9日 23時) (レス) id: e8ca574508 (このIDを非表示/違反報告)
葡萄シャーベット(プロフ) - 好きです、愛してます(真顔)めちゃくちゃ面白かったです!更新頑張ってください!(ゆっくりで大丈夫ですからね!)応援してます! (2018年9月5日 15時) (レス) id: f6cb6ae02b (このIDを非表示/違反報告)
紗衣(プロフ) - この作品とても面白く読ませていただきました!続き待ってます。 (2018年9月4日 21時) (レス) id: 7d9698e044 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:めありー | 作成日時:2018年8月27日 17時

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