夢へ。 ページ49
実夢視点
花子「これはスピードと根性が必要だ。言葉にすると簡単だけど、実際現世に留まれるくらいの踏ん張りが必要だね」
実夢「それって…」
花子「怪異だけじゃない、人間も彼岸に飛ばされるリスクが高いってこと。もちろんセンセーも」
花子「それに、夢魔がもうセンセーを誘惑しているかもしれない。急がなきゃいつまで持つか…」
土籠「いいぜ、俺がやる」
花子「…いいの?土籠が消滅することだって、」
!?消滅…それって、
実夢「ダメです!先生は消えたら、ほのか先生だって元も子もないです!」
土籠「もうそう言ってられる時間なんかないんだよ!…ほのかが助けられるなら、俺は消えてもいい」
…ウソだ。
先生だってほのか先生が好きなんだもん。
怪異なんだから、別れの痛みだって、充分分かってるはずだもん。
土籠「それで七番サマ。ほのかを助けるにはどうすればいいんですか?」
花子「…まず人魚の鱗を飲んで二人の縁を結ぶんだ。ただそれじゃあ足りない。運命の赤い糸って言うだろ?土籠とセンセーの小指をこの紐で結べば、あとは土籠の問題だ」
花子「成功すればセンセーは夢魔を振り切れられて、現世に戻ってこられる。
ただ失敗すれば…土籠もセンセーも彼岸行きだよ」
確率は、二分の一ってことか…。
土籠「やってやるさ。絶対をほのかをこっちに連れ戻してやる」
その時、土籠先生の紫色の目が寂しくも凛と光った気がした。
そして先生は人魚の鱗の一つを自分で飲み、もう一つをほのか先生に飲ませ、赤い紐をお互いの小指に結んだ…。
＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿
視点無し
真っ暗闇の中、一人の女性と小さな男の子がいた。
そこに微かな声が響く。
女性には聞き覚えのある声だったらしくて、
ほのか「つちごもり、せんせ…?」
と小さく呟く。
ほのか「つち、ごもり??何?なんのことなの?」
だが、相当自信がないようで、すぐにへたり込んでしまう。
？？「…ふーん、僕の邪魔するんだ。
先生、早く行こ。なにも考えなくていい。僕が悩みのない幸せなところへ連れてってあげる」
ほのか「…怖い」
ほのか「そこへ行くのが怖い。なにも分からないのが怖い。ねぇお願い、なんでこんなことになってるの?教えてよ…」
？？「…分からなくたっていい。君はすぐラクになれるんだから」
男の子が女性の手を引いたその時。
女性の手と遠い何かをつなぐものがピンと張った。
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作者名：リガロ x他1人 | 作成日時：2019年8月21日 23時
