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episode.32 ページ32

◇貴方side



有栖川「あら先生、誤字ですよ。珍しいですね」


「……」


すぐ直す、そう言いぶん取った。


頭から離れなかった。つい昨日言われた、お願いされた事。そのままの姿、か……


そんなにこれがいいのか。


ロシアで育った私が、初めて来た日本で感じた周りの目。


両親が亡くなり、引き取ってもらった叔母や、その家族からの『気持ち悪い』という言葉。


当時16歳の私にとってはその言葉は怖かった。


生まれ育ったロシアでも偶に日本人顔の私を珍しがる人はいたけれど、ここまでではなかった。


それに、心強い両親がいた。でも、今はもういない。心の中がぽっかり空いてしまった私には、耐えられることが出来なかった。


小さい頃から周りの目を気にしすぎてしまうのは、両親にだいぶ言われた。でも、気になるのは気になる。


見た目は違くても同じく赤い血が流れてる、か……



有栖川「どうしました?先生??」


「……何でもない」


有栖川「……?」


これ持ってって、そう言い彼女に渡して紅茶でも飲もうとお湯のポットに水を入れスイッチを押した。



――紅茶を飲んでいる時間が、一番私が落ち着ける時間だ。



……と、どこかで書いたような気がする。


今日は、これにしようかな。そう思いながら紅茶の缶に手を伸ばした。


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ゆきな☆(プロフ) - paruさん» コメントありがとう御座います!嬉しいです! (2021年5月22日 9時) (レス) id: eaaa1b941d (このIDを非表示/違反報告)
paru - めっちゃ好きです!凄く面白かったです! (2021年5月21日 21時) (レス) id: 43a47d8e0f (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:ゆきな☆ | 作成日時:2020年11月6日 11時

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