覆面作家S氏。

episode.29 ページ29

◇貴方side



「……はっ」


ぱっと目が覚めた。


あれ、私いつの間にベッドに入ったんだっけ。半分意識飛んでたから覚えてないパターンか……


あ、原こ……う……


「今、何日の何時……？」




？「あ、先生起きましたー？」




……有栖の声だ。いつ来たんだろう。


有栖川「おはようございます、先生」


「……はよ」


有栖川「あ、OKでしたよ！お疲れ様でした！すみません、こちらの都合で変更になってしまって」


「……別にいい」


あれ、テーブルにご飯……とっても良い匂いで、そのお陰でお腹がだんだん空いてくる。


有栖川「あぁ、それは安室さんです」


「……え」


持ってきてくれ……いやいや、これ私の家の食器……もしかして、来た？あ、待って、今日……！？


有栖川「今日、約束があるとかって」


「ねぇ、まさか……」


有栖川「えぇーっと、ですね……」


これは、気が付かれたな。私が小説家だって。もしや私が榎戸壮真だと言うところまで分かっているか……？彼は探偵だし、それもあり得るな。


「……はぁ、仕方ないね」


と言うことは、私は約束をドタキャンしてしまった訳だ。しかもご飯まで作ってくれただなんて。……ん？メッセージカード……？




お仕事お疲れ様です。

勝手にお邪魔してしまってすみません。

キッチンをお借りしてご飯を作らせて頂いたので、ちゃんとよく噛んで食べてくださいね。

それと、あまり無理をしないで、きちんと睡眠もとってください。

今日のお出かけの件は、また今度行きましょう。楽しみにしています。


安室透





……ありがとうございます。約束破ったのに、ご飯まで。


大体は終わったから、明日にでもポアロに行こう。


ドタキャンしてしまったことと、ご飯のお礼を言わなきゃと思いスマホを探して起動させた。


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