episode.23 ページ23
◇貴方side
?「あれ、こんにちはAさん!」
……今日は色々な人に会う日だ。
妃先生に、刑事さんに、安室さん。
「……どうも」
大量の食品を入れた買い物バックを両手に下げている。恐らくポアロの買い出しだろう。
安室「これからお帰りですか?もう夕方ですし」
「えぇ」
安室「でしたら、ポアロで夕食なんてどうでしょう?
あ、忙しいようでしたら断っていただいて大丈夫ですよ。ですが、この時間でしたらあまりお客様は来ませんし、どうでしょう?」
夕飯か……事件に巻き込まれて、これから帰ってから作るのは、面倒だ。
「……じゃあ、そうします」
安室「ありがとうございます!」
今日の夕飯は、ポアロに決定。
安室「今日は昼間日差しが強かったでしょう、大丈夫でしたか??」
日傘を閉じたまま下げている私にそう聞く安室さん。
「大丈夫でした」
安室「そうでしたか、安心しました」
何故貴方が安心するんだ。
「……」
集まる視線。こんな時間だけれど、この人といるからか。
金髪に、褐色肌。これが人気の多い昼間だったらひときわ目立つに決まってる。
安室「ん?どうしました?」
あぁ、ずっと見ていた事に気が付かれてしまったか。失礼だったな。
安室「これ、ですか?」
「……」
これ、と自身の髪に触れた。それにも気が付かれていたとは。
安室「目立ちますよね、これ。中々いませんからね」
「……」
安室「けど、視線とかは全然気にしてません」
「……」
安室「確かに、小さい頃にこれのせいでだいぶ苦労はしましたよ。変だって言われて喧嘩ばかりでしたね」
喧嘩……安室さんが、喧嘩……勝ったのかな……
安室「その時、偶然出会った医院の先生に言われたんですよ」
『じゃあその喧嘩したお友達に言ってやりなさい。人間なんて見た目は違っても、切り裂いて一皮剥けばみーんな同じ血と肉の塊。
その証拠に、黒人も白人も黄色人種もみーんなこの通り赤い血が流れてるでしょ?って言い返してやりなさい!!』
安室「ってね?」
みーんな同じ、か……
確かにそうだ、と納得してしまった。
安室「だから、もう気にしなくなりました」
「……」
安室「Aさんも、ハーフですよね。じゃあ僕と一緒だ」
「……そう、ですね」
同じ、か……
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ゆきな☆(プロフ) - paruさん» コメントありがとう御座います!嬉しいです! (2021年5月22日 9時) (レス) id: eaaa1b941d (このIDを非表示/違反報告)
paru - めっちゃ好きです!凄く面白かったです! (2021年5月21日 21時) (レス) id: 43a47d8e0f (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:ゆきな☆ | 作成日時:2020年11月6日 11時