【呪術廻戦】彼女が最期に、残したもの。

episode.8 ページ8

□家入side



あれから、Aは私の家に住んでいる。


「そうか、夏油から貰ったのか。気に入ったか？」


…………やっぱり困ってしまうか。だが、見た所無意識にだが気に入っているようだ。自由帳は真っ白だが、絵本は何度も何度も読み終わってはまた最初から読み直すのを繰り返す。また本屋に連れてって何か買ってやろう。


Aは、保育所や幼稚園に入ってなかったらしい。だから、ドリルを買ってやり今は勉強中だ。私と夏油で出来るだけ見てやるようにはしているが、とても賢い子だと驚かされる。


けど、やはりあまり懐かれていないのか中々心を開いてくれない。


彼女の表情は、３種類。


困った顔、驚く顔、そして無。その３つだ。


だけど、喜んだりと言った顔を見たことはない。それでいいのか、と将来が心配になる。もっと感受性豊かになってほしいのだが………やはり子育ては難しいな。


「これ、作ってみようか」


え？と驚く。これ、というのは絵本の中に出てきたカステラだ。材料として使われている大きな卵はないが、ネットで調べれば作り方は出てくるだろう。人気で有名な絵本だからな。夏油にやらせれば何とかなるだろう。


どうする？やりたいか？と聞いてみると、迷っているようだ。今までそんな事をしたことがないのだろうか。だが、こういう体験も大切な気がするからな。


明日、夏油が来るから相談してみよう。どうせ快く引き受けてくれるだろう。材料と、あとこの絵本のシリーズも買うのも忘れないようにしなければ。


子供というのは不思議だ。


子供を前にすると、何でもやってあげようと思ってしまう。まぁ、悪い気はしないがな。


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