【呪術廻戦】彼女が最期に、残したもの。

episode.19 ページ19

◆五条side



「愛しても、いいかな」



ふざけんな。



今さら何言ってんだ。



５年もほったらかしにしたくせに。



そう言われてしまうのではないか、と思った。だって、言われて反論出来ないんだから。


言われても仕方ない事をしてしまったんだから。




けど、違った。




彼女は、また涙を流していた。


どうすればいいのか分からずにいたら、両手を僕に伸ばしてきて。迷わず両脇を持ち上げて、椅子に座っている僕の膝に乗せた。


抱き締めると、小さな手で抱き締め返してくる。さっきも抱き締めたけど、本当に小さい。小さくて、でもしっかりと生きていて、それがとても愛おしいと思える。


貴方「おとｯ……さんｯ………」


「うん、Aのお父さんだよ」


そう答えると、回していた小さな手が僕の服をぎゅっと握りしめてきた。


愛していいって、事でいいのかな。


そっか、愛していいのか。


「これから、沢山。沢山愛してあげるから」


柚月の分も。


「だから、沢山思い出を作ろうね」


会えなかった５年間を取り戻せるくらい、２人で幸せになろうか。


「よろしくね、A」



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