たとえ足が動かなくても、私は自分の宝物達を守ってみせる。

episode.28 ページ28

◇貴方side



後ろから聞いたことのある声、そして今回の私の偽名“百合”の名を呼ぶ男性。


バーボン「探しましたよ、ほら行きましょう」


男性「え、あｯおいｯ！」


バーボン「彼女は僕の大事な人なので、では」


半ば強引に男から引き剥がされ、私達は会場を後にした。









バーボン「探しましたよ」


そう言いながら自身の車の助手席を開けてくれたので、大人しく乗り込んだ。


「………助かったわ、ありがとう」


バーボン「銃を発砲するんじゃないかぐらいの殺気を放っていたので、間に合って良かったです」


「だってアイツ………」


バーボン「顔怖いですよ、綺麗な顔が台無しです」


「……」


バーボン「はいこれ、ターゲットから奪ったデータです。解析をお願いします」


「了解」


バーボン「あ、あとこれも」


「………ｯｯ！！」


バーボン「この前、僕の車に落としてましたよ」


バーボンに渡されたもの、それはシェリーちゃんに処方された薬。睡眠薬に見せかけた、私専用の足のための薬だ。


この人は情報屋、私のことも調べないわけがない。


バーボン「アルネイス、どうしました？顔色が悪いですよ？」


「慣れない仕事をしたから、疲れただけよ。それより、この手は何？」


薬を受け取ってすぐ掴まれた腕。そして目の前にはバーボンの顔、横には腕、いわゆる壁ドン状態。


バーボン「いや、ただ貴方の事をもっと知りたいと思いまして」


バーボンの得意とするハニートラップか。



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