episode.155 ページ3
◇貴方side
「じゃあお名前、お姉さんに教えてくれる？」
蒼汰「僕、田中蒼汰！」
結「結！」
「蒼汰君に結ちゃんね。私はA。じゃあお母さんの病室見つけてあげるから一緒に行こっか」
ポケットに入ってたハンカチで涙を拭いてあげてから手を繋いで受付に。
この子達のお母さんの病室を聞きエレベーターに乗って病室に向かった。
「さっきは何喧嘩してたの？」
結「……」
蒼汰「母さんが……」
「？？？」
蒼汰「A姉ちゃんって、先生なんだよね……？」
「うん、そうだよ」
蒼汰「じゃあ！！母さんの手術！！止めて！！」
「……どうしたの？」
またまた涙目になっちゃった二人。
訳を聞いてみると、二人のお母さんは難病らしい。
で、最近こっちに移ってきたのは手術をして貰うためで。
でも、それはすごく難しい手術になるって聞いてしまったらしい。
蒼汰「もう母さんに会えないのやだよｯ……」
結「やだやだｯ……」
どんどん鳴きだしてしまった二人。
「ほらほら、泣きやんで。お母さんは大丈夫だから、きっと」
そう言いながら頭を撫でてやると少しは泣きやんでくれて。
「ね、信じようよ。きっとお母さんは大丈夫だって。二人が祈ってれば神様も聞いてくれるよ」
蒼汰「……ほんと？」
結「ほんとに？」
「うん、だから泣きやんで。二人が泣いてるとお母さんも泣いちゃうよ？笑ってお母さんを元気付けてあげようよ」
蒼汰「うんっ」
結「うんっ！」
さ、行こっか。そう言いながら二人の手を握り直して病室に連れて行った。
この病室かな、と名前とナンバーを確認し、コンコンとノックをした。中から女性の声。
「失礼します」
母「あら？」
蒼汰「母さーん！」
結「ママ〜！」
二人はすごく嬉しそうに笑っていて、それを見たお母さんも微笑んでいた。
母「先生、ありがとうございました」
「いえいえ、じゃあ私はこれで」
.
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作者名：ゆな
| 作成日時：2019年12月4日 19時
