episode.145 ページ43
◇貴方side
すぐに赤井さん家のマンションに駆け込んだ。
すぐにエレベーターに乗り込み家のある階を押して閉じるボタンをつい連打してしまう。
落ち着け、落ち着けと心の中で落ち着かせた。だがこんな感じたことの無い恐怖なんて、私にどうこうできるわけもない。
エレベーターから降りてすぐに赤井さん家の扉を開けた。
震えた手ですぐに鍵をかけて中に。
「大丈夫ｯ……大丈夫ｯ……」
指にはめていたペアリングを無意識にぎゅっと握りしめた。
するといきなり音が鳴って、急にだからビビってしまった。鳴ったのはスマホの電話の着信音。
震える手でボタンを押す。
「も、しもし」
赤井『俺だ。……A、今どこにいる？』
聞こえたのは、今凄く凄く会いたい人。
「あ、赤井さん家です……」
赤井『分かった』
すぐに切られた電話。
「……」
え、どういうこと？
分からないまま待っていると、何十分経った頃に玄関の扉が開く音がして。
赤井「Aｯ」
慌てて入ってきて、私を見つけた途端に大きな手で抱きしめてくれた。
「あ、かいさん……？なんで……？」
赤井「そんな事はどうでも良い、何があった」
「え……？」
赤井「俺に隠せると思うな」
「……家の、ポストに……」
恐る恐る、さっきの封筒を渡した。
「家の、玄関が開いてて……ちゃんと閉めたのにｯ開いててｯ……ピッ…ッキングの、跡も……」
赤井「そうか、」
彼の顔が見えない。
けど、大丈夫だと何度も言ってくれて強く抱きしめてくれた。
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作者名：ゆな
| 作成日時：2019年11月18日 11時
