episode.29 ページ29
◇貴方side
零「……まぁ、お前の言うことも分かるさ。今までだったら俺も同じように突き放してたしな。でもあいつは自分の身は自分で守れる奴だ。俺も、もちろんお前もよく知ってる」
「うん」
零「それに、松田はどう思ってると思う？俺らのこと知ってる唯一の人物だ。
前にあった組織壊滅作戦の時、覚えてない訳ないだろ？」
「……」
黒ずくめの組織壊滅作戦。あの時は皆のおかげで潰すことが出来たけど、零も私も大怪我をした。
それが陣平さんにバレたとき、本当に怒られた。無茶するなと。自分の命を大事にしろよと。
あの時死のうとしてた奴に言われたくないとも思ったけど、でもごめんと口にしていた。
その時の彼の顔は、俺もいるんだから頼れよ、と言っているように見えたんだ。
その顔は、ずっと忘れられない。
零「ま、よく考えるんだな。取りあえず肉食え」
「……うん」ぱくっ
零「あｯ！！俺の肉食ったなｯ！！」
「知るか。美味しそうだったから食べただけだし。自分のなら名前でも書いとけ！！」
零「自分で焼いたやつくらい分かるだろ！それすらも分からないのかよ！そんなんでよく公安が務まるなｯ！！」
「はぁ！？何言ってんだこのベビーフェイス！！」
零「黙れお子ちゃま！！」
「ゴリラ！！大好きなバナナでも食ってろっ！！」
零「お前だってゴリラだろうが！！」
「はぁ！？一緒にしないでよこの童顔！！」
零「顔が一緒なんだからお前も童顔だろっ！！」
「なんでこんなに零と顔一緒なのよっ！！同類だと思われるじゃんっ！！」
零「俺と同じで整った顔なのを光栄に思えっ！！」
「顔が整ってるのは認めるけどっ！！認めるけどっ！！でも一緒なのがすごく気に食わないの！！」
零「知るかっ！！」
結局、何時もみたいな喧嘩しながらの焼き肉争奪戦になって。そして私は自宅に、零は公安に帰った。
てか仕事残ってるならそう言えよ。手伝ってやったのに。
まぁ零らしいけど。
ありがと。
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作者名：ゆな
| 作成日時：2019年9月18日 9時
