episode.26 ページ26
◇貴方side
目が覚めた。外が明るい。頭がぐわんぐわんする。これ絶対昨日ドライに強引に飲まされたからだ。大量に飲んでやばいと思ったけど平然を装ってタクシーで帰って……
松田「起きたかよ、酔っぱらい」
「あれ、なんでここにいるんだっけ」
松田「昨日自分で来たんだろーが。玄関で倒れてっからここまで運んだけど、そんなになるまで飲んでたんか」
「仕事」
松田「だと思った。ほら水」
ペットボトルの水を渡してくれた。
松田「朝ご飯出来てっから食えよ。俺はこれから仕事があっから。お前は?」
「午後から。ありがと」
松田「いつものことだし、今更言うことでもねーだろ」
「うん」
松田「……俺を呼べよ」
「え……」
松田「昨日、連絡してくれりゃあ迎えに行ってやったのに」
「……それはだめ」
あそこで迎えに来てって言ったらドライに見つかってしまったかもしれない。それは絶対にダメ。
松田「……何でだよ」
「ダメ、絶対に」
松田「それだけ頼りないってか、俺は」
「違う、違うよ……そういうわけじゃない、それに信頼も出来るよ。けど、私は大切な人をこれ以上傷付けたくない」
彼はわかってると思う。そういう所に潜入してるってこと。だから何かしらの策を講じて来てくれるはず。でもそれはダメだ。陣平さんを近づけちゃダメ。
松田「……」
黙ってしまった。でもダメだよ。萩さんがいなくなって、ヒロさん、伊達さんもいなくなって。もう大切な人を失いたくない。
松田「そうかよ」
いきなりこっちに来たかと思うと、後頭部をいきなり掴まれ唇に感触が。すぐに彼が離れて部屋を出ていって玄関が閉まる音が聞こえてくる頃にやっと理解が出来た。
「陣平、さんに……キス、された……」
まだ、口の中に煙草の味が残ってる。
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作者名:ゆな | 作成日時:2019年9月18日 9時