期待に焦がれて ページ28
＊
クリスマスイブ。
私の20歳の誕生日だ。
昨日のことが頭から離れない。
私の心の中では淡い期待が顔を覗かせていて、朝からずっと心臓の音がうるさい。
そんな中、私の乗る一つ前の駅で1時間半止まったらしい。
『ショッピ、先行っただろうな…』
期待や焦がれ、待ち遠しかった気持ちとの差が激しくて、不安が大きくなっていく。
小さく声を漏らして、特等席にも座れず車内で揺られて呆然と立っていた。
ショッピが来るはずの駅に着いても、それらしい影もなく扉が閉まる。
浮かれていた気分が一気に底のほうへ落ちて頭を手すりに預ける。
一つため息を着いて、会社に来た。
扉近くから軽く辺りを見回すがショッピの姿はなく、荷物だけがあった。
やっぱ、もう来てたんだ
誕生日といっても、私には「おめでとう」の一言もなく女性社員と戯れてんだろ。最近素っ気なかったし。
呆れてPCの画面を開く。
いざ取り掛かろうとすれば、仲のいい先輩が話しかけてきた。
「今日誕生日でしょ？おめでと、告白まだ？」
「私達からの誕プレ。高いから二人で一つだけど許してね。」
『あ、ありがとうございます、』
縦長な黒いオシャレな箱を開けると、中には香水が入っていて試しにつけてみると、
少し甘くて優しい雰囲気のいい匂いだ。
ショッピが好きそう、なんて不意に思ってしまう。
「？元気ないね、」
『いや、電車遅れてるの長い間待ってたんで、もう疲れたというか…』
「そういえば、ショッピくんも今日遅かったよね。
さっき慌てて荷物置いてからすぐあんたのこと探してたし、呼んでこよっか？」
『えぇ…いいよ、ほっといて。』
「…そっか。じゃ、私達もそろそろ戻るね。
また昼ね〜。」
『うん、』
遠くから「嬉しくなかったかなぁ〜」と話す先輩の声が微かに聞こえた。
香水を大事にしまって感謝のLINEを送ろうと思った頃に、後ろから荒い息のショッピがもたれてきた。
「助けて、
ショッピが悪いわけじゃないのに気が向かずに素っ気なく顔を逸らす。
「…」
私の気持ちを察したのか分からないが、すぐに離れて隣の席へ座った。
「遅れてごめんって、ほら、これ買っててん。」
すっと横から小さめの四角い箱を出してきて、「おめでと、お姉さん」なんて言ってくる。
気が乗らなくてまた冷たく「いいよ」なんて返す。
「…そっか」
顔は見ていないけど、ショッピの声が酷く悲しく聞こえた。
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雑主_A(プロフ) - いちみさん» 最後までご愛読ありがとうございます、物語や関係性を楽しんで頂けてとても有難い限りです！作品を見つけて頂きありがとうございました！ (9月16日 22時) (
レス) id: b32c491b45 (このIDを非表示/違反報告)
いちみ - 完結おめでとうございます!私は二人の関係性が凄く好きで､こんな神な作品を作れる人初めて出会いました！特に最後ら辺は涙が溢れてしまいました…これからもずっと応援してます！頑張ってください！ (9月16日 9時) (レス) @page38 id: d3cec39784 (このIDを非表示/違反報告)
雑主_A(プロフ) - のすけ。さん» ありがとうございます！作品に様々な感情を抱いて読んで頂けて嬉しく思います、作品の在り方としての本望です。ご愛読頂きありがとうございます！ (9月2日 6時) (レス) id: b32c491b45 (このIDを非表示/違反報告)
のすけ。(プロフ) - 完結おめでとうございます！更新お疲れ様でした！2人の関係性に時にもどかしさを感じたり、時に感情溢れて泣いたりしました。この作品を見つけて本当に良かったです。素敵な作品をありがとうございました！ (9月2日 6時) (レス) @page38 id: 5a489ae30f (このIDを非表示/違反報告)
雑主_A(プロフ) - キルさん» ありがとうございます！最後まで楽しんでいただけて光栄です、ありがとうございます！ (9月1日 22時) (レス) id: b32c491b45 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：雑主_A | 作成日時：2023年7月27日 16時
