ここに居るだろ ページ27
＊
仕事が早く終わって、「終わったよ」と連絡して暇しながら数十分待っていると
ショッピが荷物を取りに帰ってきた。
『ん、帰ろ。連絡したのに返事しないからびっくりしたよ』
私も帰る準備をして席を立ち上がると困ったような愛想笑いを向けられた。
『えっ、…(ﾎﾞｿｯ)』
「ごめん、他に一緒に帰る人おるから」
今まで愛想笑いなんて向けられたことがなかったのに、初めてだ。
心臓がズキと痛む。
もう帰り道さえもそばに居ちゃだめなの？
「じゃあ、おつかれ」
そう言って去っていく彼の背中が遠かった。
もう私に見向きもしないの？
『…どこ見てんの、』
彼の腕を掴んで引き止めて、やっと振り向いた顔をぐいっと両手で掴んで寄せる。
＿『…っ、私はここに居るだろばか』
綺麗なこの紫の瞳も今は独り占めだ。
悔しさも寂しさも、孤独の哀しさも
全部全部、ショッピを取られたただの嫉妬なんだよ。
何よそ見してんだよ、ずっと。
眉を顰めて嫉妬交じりに唖然とした紫色の瞳を睨みつける。
「、…
…俺が女性ばっかに囲まれて妬いとんの？」
嬉しそうにニヤリと微笑んで、私の顔を両手で収められ顔がより一層 近づく。
『そりゃずっと背かれてたら…！
休みもしないで手伝いばっかで、心配にもなるし寂しくもなるから…
…大事な幼馴染なのに』
想いが溢れて言葉にすると、少し顔を鈍らせたショッピが鼻先が当たりそうな程近づく。
「俺のこと、ちゃんと男として見てや」
そう告げて、彼が目を妖艶に細め
くっつくほど近づいてきてぎゅっと目を瞑り身構える。
頬を優しく持たれて、唇に何かが当たる感覚がする。
『んっ…』
一瞬 肩を震わせてからもっと強く瞑り、少ししてから唇から離れた。
そーっと目を開くと綺麗な紫の瞳が此方を覗いていて、彼が優しく微笑んだ。
頬や耳、体中が熱くなっていくのを感じながら彼の手に顔を預けた。
「そばにおるよ、A」
『、うん…』
そっと耳を撫でて垂れた髪をかけられ、
頭を優しく撫でられて。
私を見つめる彼にうっとりと見惚れていた。
好きだよ、ショッピ。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 290人がお気に入り
お気に入り作者に追加
「wrwrd」関連の作品
わしの平和な日常返せぇ？…ｱｯ…元々平和やなかったか…3【d!】【らっだぁ運営】【日...
エルフの幹部は仲間を見つける2【wrwrd】
メリーハッピーエンド666 〈d！〉
この作品を含むプレイリスト ( リスト作成 )
この作品を含むプレイリスト 
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
雑主_A(プロフ) - いちみさん» 最後までご愛読ありがとうございます、物語や関係性を楽しんで頂けてとても有難い限りです！作品を見つけて頂きありがとうございました！ (9月16日 22時) (
レス) id: b32c491b45 (このIDを非表示/違反報告)
いちみ - 完結おめでとうございます!私は二人の関係性が凄く好きで､こんな神な作品を作れる人初めて出会いました！特に最後ら辺は涙が溢れてしまいました…これからもずっと応援してます！頑張ってください！ (9月16日 9時) (レス) @page38 id: d3cec39784 (このIDを非表示/違反報告)
雑主_A(プロフ) - のすけ。さん» ありがとうございます！作品に様々な感情を抱いて読んで頂けて嬉しく思います、作品の在り方としての本望です。ご愛読頂きありがとうございます！ (9月2日 6時) (レス) id: b32c491b45 (このIDを非表示/違反報告)
のすけ。(プロフ) - 完結おめでとうございます！更新お疲れ様でした！2人の関係性に時にもどかしさを感じたり、時に感情溢れて泣いたりしました。この作品を見つけて本当に良かったです。素敵な作品をありがとうございました！ (9月2日 6時) (レス) @page38 id: 5a489ae30f (このIDを非表示/違反報告)
雑主_A(プロフ) - キルさん» ありがとうございます！最後まで楽しんでいただけて光栄です、ありがとうございます！ (9月1日 22時) (レス) id: b32c491b45 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：雑主_A | 作成日時：2023年7月27日 16時
