ツイてない日 ページ31
「新入りか?」
ビーチにいればツイてない日もある。そんな誰かの言葉を思い出す。廊下を歩いているとどこからともなくドスの聞いた声が聞こえる。武闘派連中であった。すでに周りを取り囲まれてしまっていて逃げ場はないと言われているようだった。
「はい…」
ジロジロと全身を舐め回すように見られた後、
「おい、この女を連れてこい」
それが何を意味するのか分からないほど無知でもないし経験がないわけじゃあなかった。…虐げられることに慣れてしまえば、終わりが来るのを待つだけで、終わってしまえば大丈夫。
自分の父親のことを思い出す。ニラギに笑いながら腕を掴まれてしまえば抵抗することも忘れ、ただただ硬直するだけだった。
「盛り上がってるとこ悪いけど」
「ボーシヤが御用みたいだよ？A」
緊迫感を纏ったこの空間にどこ吹く風とチシヤが割って入る。相変わらず余裕たっぷりで腕を組みながら猫目を少しだけ細めるのだった。
「すっこんでろてめえは」
ニラギがチシヤの前に立つと睨みを効かせるが、チシヤは一歩も動かずに野蛮だねぇと見下すように口角を上げるだけだった。
その言葉に青筋をたてるニラギにお構いなしと言うようにチシヤは続ける。
「文句ならボーシヤにどうぞ？俺はお使いを頼まれただけだからねぇ」
そう言うとニラギの横を通り抜けAの腕を掴み借りてくよ、と手をヒラヒラさせながらさっさとその場から離れた。
後ろからニラギの怒号が聞こえチシヤの横顔をちらりと見やるがチシヤはまるで聞こえてないみたいな顔をして前を歩いていた。
未だ掴まれたままの腕は、先ほどニラギに掴まれた時とは違い、優しくて安心する暖かさに泣きそうになってしまうのだった。
結局、武闘派に絡まれてたところをチシヤが助けてくれたのだ。ボーシヤが用があるなんて嘘だった。
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かえで(プロフ) - おこめさん» えー！ありがとうございます！見ていてくださってたんですね。めちゃくちゃ嬉しいです…！今後ともよろしくお願いします！ (2023年2月20日 23時) (
レス) id: 8a349644e1 (このIDを非表示/違反報告)
おこめ(プロフ) - かえでさん初めまして！いつも楽しく拝読させていただいております！更新頑張ってください。陰ながら応援しております^ᴗ͈ˬᴗ͈^♡ (2023年2月20日 22時) (レス) id: 9157f8724a (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：かえで | 作成日時：2023年2月8日 19時
