手の温度 ページ24
適当にしててと部屋に通され広めのベッドに腰掛ける。チシヤが部屋の棚から何かを探してるのをぼうっと見ている。
あったあったと手に救急箱らしきものを手にして戻ってくると隣にストンと座った。片足は胡座かくようにベッドの上へ、もう片足は下ろしている。必然的に体はこちらに向いていて、真っ直ぐ私を捉える。
「腕、出して」
言う通りに腕を差し出すと片手で優しく掴まれる。思っていたよりも高い温度に意外だなと思った。
窓の外からは楽しそうな笑い声が響いている。それ以外はとても静かだ。私の腕の傷を消毒している手元をじっと見入る。
「あっそういえば名前、言ってなかった」
「A」
でしょ?と眉を上げちょっと得意げな顔したチシヤと目が合う。
あの時は、名前まで言えなかったがここに来るまでいろんなところで呼ばれていたからまあ知っているかとひとりごちる。
「うーん…他に紹介することある?」
自己紹介と言われても特に思いつかず、趣味…興味ないよな…なんて思いを巡らせていると、
「ふっ、なにさっきから静かだったのずっと考えてたの?」
律儀だねぇと笑われ少しむっとする。自分から言い出したくせに…。
「ほら、出来たよ」
いつの間にか治療は終わっていた。彼の暖かな手が離れるのを少し寂しく感じた。
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かえで(プロフ) - おこめさん» えー!ありがとうございます!見ていてくださってたんですね。めちゃくちゃ嬉しいです…!今後ともよろしくお願いします! (2023年2月20日 23時) (レス) id: 8a349644e1 (このIDを非表示/違反報告)
おこめ(プロフ) - かえでさん初めまして!いつも楽しく拝読させていただいております!更新頑張ってください。陰ながら応援しております^ᴗ͈ˬᴗ͈^♡ (2023年2月20日 22時) (レス) id: 9157f8724a (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:かえで | 作成日時:2023年2月8日 19時