チシヤという男 ページ6
あの後、アリス君とは分かれ私はひたすら階段を上がった。
分かれる前アリス君はありがとう、気をつけて。生き残ろうと声をかけてくれた。
優しい人だな…。みんな自分のことでいっぱいなのにそんな風に声をかけてくれた。
ここに来てから初めて優しくされた気がする。
「人に構ってばっかじゃすぐ足元すくわれちゃうよ?」
声の方を向くと先ほどのフードの男がいた。
ここならどこから鬼が来ても見晴らしがいいから動きやすい。そう思ってのことだろう。
なんと返したらいいか分からない。逃げ場が少ない場所じゃ無視をするのも躊躇われる。
「あれ、助言のつもりだったんだけど」
余裕のある笑みを浮かべながら言い淀んだ私にそう続ける。
「それは、どうも」
素っ気なく返してしまった。
綺麗な男の人が浮かべた綺麗な少し馬鹿にしたような笑みはなんとも私を居心地悪くさせた。
「おじさんなにレンジャー?」
ミナトが私の横で無邪気に言う。
「おじさ…」
思わず吹き出してしまった。こどもって親以外の大人はおじさんおばさんって言うよね。しかも派手な髪色から自分の見てる特撮を連想したのだろう。
銀髪の彼は思っても寄らないことを不意に言われたからか少しばかり眉を上げて破顔した。
「挨拶がまだだったねぇ。おじさんじゃなくてまだお兄さん、かな。」
「あと俺はレンジャーじゃなくてドクター。」
ミナトに視線を合わせるよう片膝をつくとそう言った彼は、下から私を見上げて、チシヤだと言った。
名前か、と一拍おいて理解した。私…と口を開きかけた時
パラララ!!
ゲームをするうちに聴き慣れてしまった嫌な音がした。
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かえで(プロフ) - おこめさん» えー!ありがとうございます!見ていてくださってたんですね。めちゃくちゃ嬉しいです…!今後ともよろしくお願いします! (2023年2月20日 23時) (レス) id: 8a349644e1 (このIDを非表示/違反報告)
おこめ(プロフ) - かえでさん初めまして!いつも楽しく拝読させていただいております!更新頑張ってください。陰ながら応援しております^ᴗ͈ˬᴗ͈^♡ (2023年2月20日 22時) (レス) id: 9157f8724a (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:かえで | 作成日時:2023年2月8日 19時