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月の夜 ページ4

そんな悩みの日々が続きはや1週間。

血液は鮮度が命なのでキンキンにしてすぐ飲むように心がけているが、それにしてもまぁまずい。
ここ数ヶ月間まともに生の血液を飲めていないので体はガス欠寸前だ。

最近では、授業中も前後左右の席から発せられる、魔力を帯びた血の甘い匂いに当てられて、集中出来ていない。

そんな、満月の夜だった。

俺はいつものように寮を抜け出した。ルーティンというか、気晴らしのために。

もう夏になるかというところなので涼しくはない。
それでも寮よりも血の匂いがなくて落ち着く。


深呼吸をする。



限界だったんだ、俺は。今、人が来たら間違いなく_____



吸い込んだ息が特別に甘い匂いを運んできた。



血の匂い_____嘘だろ。人がいるのか……?


普通の生徒なら堪えられたかもしれないがこれは……


『(甘すぎる……!)』


あまりの強烈な匂いにむせ返って咳き込むと、
その匂いの元の人物もこちらに気付いたようだ。


「ヒッ……人!?」


『(くそっ、早く行けよ止まってないで……)』


目を逸らし続けた。

見てはいけない。

どうしてそんなに甘い匂いがするのか知りたい。

相手を傷つけてはいけない。

その味を知りたい。

それが出来なくても、どんな奴か見るくらいなら。



『ッ……』



暗い廊下にぼぅっと青く光る髪。こちらを見て怯えているような表情。なんと言っても血の匂い。


抗えなかった。

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作者名:ねぎま | 作成日時:2022年1月1日 6時

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