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腰の辺りまで流れる綺麗な髪が、窓から差し込む西日をうけて、弾むたびきらきらと光を放っている。

長い廊下を脇目も降らず真っ直ぐに歩いていく彼女の後ろを、少し浮いた心地のする体を引きずって必死に追いかける。




「ゆきちゃん、待って…っ」

「……なんで」



教室を出てすぐにゆきちゃんの元へと走った。
走ったとはいえ熱のせいで体はへろへろで。
後ろから情けない声で呼びかけるのに精一杯だった。

それでもそんな俺の声に気づいて振り返ってくれた彼女に。



「すき」

「………は?」


今、最も早く届けられる方法で、またも脈絡もなく自分勝手に思いを告げた。うん、これ二回目なんだけどね?

なんとも言えない表情で眉をひそめ、ぱたりと足を止めてくれたゆきちゃん。
これ幸いと近づくと、すごく気まずそうに目をそらされた。

「なんでいつも…、
そんな突拍子もなくさ…」

ほんのすこし尖らせた口でぶつぶつと不満をぶつけて来る彼女に、自分でも分かるくらいいま、困った顔になっていると思う。

かわいいから。
すごくすごくかわいくて、眉根にぎゅっと力がこもる。
心臓を素手で鷲掴みにされたように苦しくなって、胸の内側を拳で殴りつけられてるみたいに心音が激しく強くなる。


動物の一生のうちの心拍数って決まってるんだっけ?
俺、間違いなく早死するよね。



「死んじゃうかもしれないな。寿命削りながら恋してるんです、ぼく」
「なんなの、意味わかんない」
「死因がロマンティックすぎる」
「私は羞恥心でいますぐにでもぽっくりいきそうだよ…」


なんかぐったりしてる。
逃げられてしまわないように、一応手を繋いでおく。それにも無反応。

顔を覗き込もうとしても、させるものかと首を振るから、えーいって抱きしめてみた。


「やだ…」
「でも、嫌いじゃないでしょ?」
「きらい」
「うそ。嫌いな人間とは一緒にいられないひとでしょう、あなた」
「心が狭いから?」
「でも俺は、ゆきちゃんのそういうところもすき」
「適当言わないで。…否定しないし」
「ふは、だって、そういう子の方が信用できると思えるから。
そんな子に隣にいることを許されると、たまらなく嬉しくなるよ」
「…」

少しだけ隙間ができるように体を離し、黙り込んでしまったゆきちゃんを見下ろす。

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設定タグ:SnowMan , 阿部亮平 , 目黒蓮   
作品ジャンル:恋愛
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(プロフ) - 張り切ってまた後日談のようなもの書かせていただきたいです☺️🙏🏻本当にやさしくてあたたかいお言葉をありがとうございました😭💓 (2023年5月1日 16時) (レス) id: cdda59657f (このIDを非表示/違反報告)
(プロフ) - たぬさん» 素敵な書き手様に読んでいただけたことに、恐れ多くて震えております…( ; _ ; )とても嬉しいです…!ありがとうございます💗その上めちゃくちゃ嬉しいお言葉ばかりかけていただけて、本当に幸せです( ; _ ; )▶︎ (2023年5月1日 16時) (レス) id: cdda59657f (このIDを非表示/違反報告)
(プロフ) - かぼちゃさん» 心温まるとのお言葉が、とても優しくてかぼちゃさまのような素敵な方に読んでいただけたことを光栄に思います🥲💓これからもたのしくお話書いていけたらと思うので、また次のお話でもお会い出来るよう、がんばりますねっ☺️💝 (2023年5月1日 16時) (レス) id: cdda59657f (このIDを非表示/違反報告)
(プロフ) - マコトさん» はじめまして🤍四者四様!を意識して書いたので、そこをすごく丁寧に読み解いていただけたことを本当に嬉しく思います…!😭ありがとうございます💓こちらこそ、とても優しいお言葉をかけてくださりありがとうございました🥲🩵 (2023年5月1日 16時) (レス) id: cdda59657f (このIDを非表示/違反報告)
たぬ(プロフ) - めちゃめちゃ面白くてキュンとして、読了後にふんわりと心が暖かくなるような作品でした!文章がすごく好みで、登場するキャラクターがみんな個性はありつつもそれぞれ可愛いポイントがあって、みんなを応援したくなるようなお話でした。是非また続きが見てみたいです! (2023年4月30日 15時) (レス) @page25 id: dc32266bd7 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名: | 作成日時:2023年4月29日 21時

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