ONCE UPON A TIME～真実の愛のキス～2 (ページ10)

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Aside

厨房奥のスタッフルームの扉を

勢いよく閉める。

私は誰もいないのをいいことに

何の躊躇いもなくTシャツを脱ぎ

洗濯機に投げ込んだ。

正直、自分でもびっくりした。

普段、私が声を荒げることはめったにない。

自分で言うのも何だが

私は誰もが認めるいい子。

ときどきそんな自分が嫌になる。

だから、これで良かったのかもしれない。

まあ、そんなのただの

言い訳かもしれないけど…

そんな風に自分の世界に入り込んでいると

突然後ろから声をかけられた。

「あの～…」

「きゃっ…あっ…」

そこにいたのは

私より1コ2コ年上に見える女の子。

私に向かって青いシャツを差し出していた。

「これ、どうぞ」

「あっ、ありがとうございます」

女の子は小さく頭を下げると

隣の洗濯機から

ベッドカバーを何枚か取り出した。

そのとき見えた女の子のお腹に

目を丸くする。

その子は妊娠していた。

もう臨月に入ってるんじゃないかと思うぐらい

お腹が大きく膨れている。

そこまで聞いてようやく

彼女が誰なのか分かった。

私たちもよく知ってる

2コ上の先輩、愛梨さん。

でも、目の前にいる愛梨さんは

私の知ってる彼女とはかなりかけ離れていた。