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貴方side
こんなはずじゃなかった。
顕嵐に会いたくなくて
パーティーに行かなかったのに、
今彼は、私の目の前にいる。
私のとこに来てくれたことに
喜んでいる自分がいるのも気に食わなかった。
貴「どうしてここにいるの？今日は退院祝いのはずでしょ」
顕「…なんか居づらくて」
貴「楓さん、今日のためにみんなに声かけて、一生懸命準備してたのよ。それを途中で抜け出すなんて、何を考えてるの？」
顕「Aが来ないから」
貴「顕嵐…」
お願いだからそんなこと言わないでよ。
決心が揺らいじゃうじゃない。
貴「早く家に帰って」
顕「待ってよ。Aと話がしたいんだ」
貴「また今度にしましょ。今日はもう帰って。楓さんの隣にいてあげなきゃ」
顕「……いやだ」
貴「顕嵐…」
顕「怜央たちから聞いた。ここに1人で暮らしてるって。バイト辞めたら、これからどうするんだよ」
貴「どうしてそのこと知ってるの？」
顕「安井先生が言ってた」
あのおしゃべりが…
今度あったら一言言っとかないと。
顕「もしかして俺のせい？俺があんなこと言ったから…」
『何を見ても違和感しかないんだ。君以外は』
貴「顕嵐……違うわ。あなたは関係ない。もうすぐ受験だから、もっと融通の利く仕事に変えるだけよ」
顕「…そっか」
貴「そうよ。だからもう帰って。お願い」
顕「分かった。じゃあ、また」
貴「ええ…」
帰っていく顕嵐の背中が見えなくなるまで
ただぼーと見つめていた。
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作者名：千織 | 作成日時：2017年2月20日 18時
