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【魔法の森】
「玄樹…」
「大丈夫だよ、もう終わったから」
玄樹はシンデレラの手をぎゅっと握った。
目の前では
ルンペルシュテルツキンが鎖で縛られ
檻に入れられている。
鍵が閉まった音を聞いたとき、
シンデレラは安心したのか
膝から崩れ落ちてしまった。
「おっと…平気か？」
玄樹が慌てて抱きとめた。
シンデレラは小さく首を縦に振った。
「水を汲んでくるよ。ちょっと待ってて」
玄樹はシンデレラから離れ
庭園の奥にある井戸に向かった。
それから数十分。
まだ玄樹は戻ってこない。
水を汲みに行ったとしては遅すぎる。
シンデレラは様子を見に行くことにした。
「玄樹〜？いるなら返事して！」
しかし、返事はない。
井戸のそばに玄樹の姿もなかった。
「バケツはあるのに…」
井戸の縁にはロープで固定されたバケツがあった。
玄樹が準備したんだろう。
じゃあ彼はどこに…？
シンデレラは井戸の中を覗いた。
「きゃーーーーーー」
井戸の中には、玄樹のマントだけが浮かんでいた。
………………………………………
「彼をどこにやったの！？」
シンデレラはルンペルシュテルツキンに詰め寄った。
「何のことか分からんね」
ルンペルシュテルツキンは楽しそうに
笑っている。
「ふざけないで！彼を返して！」
シンデレラはルンペルシュテルツキンの襟を掴んだ。
慌てて顕嵐が止めに入る。
「ちょっと待った！どうした？何があったんだ？」
「……玄樹が…いなくなったの」
「そんな……衛兵！今すぐ玄樹の捜索にあたれ！…行こう、シンデレラ」
顕嵐はシンデレラの手を引き、
城の中へと戻っていった。
庭園には
ルンペルシュテルツキンの高笑いが響いた。
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作者名：千織 | 作成日時：2017年2月20日 18時
