ONCE UPON A TIME～真実の愛のキス～2 (ページ24)

今日:1 hit、昨日:10 hit、合計:4,463 hit

69 ページ24

Aside

顕嵐に連れられて外に出た。

気まずい私とは対照的に

顕嵐は楽しそうにしている。

わざとらしく空気なんか吸っちゃって。

顕「A、」

貴「ん？どうしたの？」

顕嵐は急に立ち止まった。

さっきとは打って変わって

真剣な顔をしている。

顕「意識が戻ってからずっと、なんだか変な感じがするんだ。まるで見知らぬ土地に目覚めたような」

貴「……すぐ慣れるわよ」

顕「ああ…何を見ても違和感しかないんだ。君以外は」

貴「顕嵐、私…」

顕「分かってるよ。俺がこんなこと言ったらAを困らせるだけだってことは。でも、この気持ちに嘘はつけないんだ…」

顕嵐は真っ直ぐ私の目を見て

そう言った。

「私も好き」

そう言えたらどんなにいいだろうか？

でも、言えない。

言ってしまったら

楓さんを傷つけることになる。

じゃあ、言わなかったら？

そしたら顕嵐を傷つけることになる。

それに私も…

ああ、もうどうしたらいいの？？

貴「ごめんなさい、行かなきゃ」

顕「待って、A」

「あらーーーん！！」

貴「楓さん…」

突然茂みの陰から楓さんが現れた。

楓さんの目が私に向けられる。

あ、見られてたな…

楓「こんなとこで何してるの？」

貴「何も！私バイト中なんでもう戻ります」

私は顕嵐の手を振り払い、歩き出した。

楓さんの脇を通るときは緊張した。

やっと通り過ぎたと思ったとき…

顕「A！」

なんで今呼ぶかな～？

無視するのも不自然なので、立ち止まり振り返る。

顕「また明日来るよね？」

子供が母親にすがりつくような目。

そんな目で見ないでよ。

そんな目されたら私…

貴「もちろん」

そう言って2人に背を向けた。

＊作者より

キャラクターの言葉遣いなんですが、

元々はおとぎ話の登場人物ということなので、普通の高校生が遣うのとは異なると思います。

どうか、ご理解をお願いします。