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顕嵐side
安「Aならすぐ来るよ」
顕「えっ?…あぁ」
平日の夕方、
いつものように安井先生が
診察に来てくれた。
先生が診てくれてる間も
病室のドアから目が離せない。
彼女が来るのを今か今かと待っていた。
安「すっかり夢中みたいだね」
顕「やっぱそう見えます?」
安「うん(笑。でも、無理はないよ。Aは町1番の美人だから」
顕「俺は見た目で好きになったんじゃ」
安「分かってるって!そうムキになるなよ(笑。あっ、俺外来行かなきゃいけないから行くわ。お大事にな」
顕「は〜い」
安井先生め。
絶対面白がってるよ。
まあ、ネタを提供してるのは俺だけど…
安井先生も行っちゃったし
つまんないな〜。
楓が来るまでもまだ時間あるし。
正直楓に会うのはキツいんだよな。
俺の彼女だったらしいけど
まったく覚えてないし。
記憶以前に違和感がしてならない。
枕元に置いていた携帯に手を伸ばした。
Aに電話しようか。
でも、しつこいと思われたらやだしな〜。
そんな風に自分の世界に入っていたら
ドアに人が立っていることに
気づかなかった。
貴「病室では携帯は使用禁止よ」
顕「A!来てくれたんだ」
貴「そりゃ仕事だから」
顕「でも、この前は来なかったから」
俺がそう言うと、
Aは困ったように俯いた。
きっと俺も同じような顔してる。
貴「その日は…忙しくて」
Aは絞り出したかのような
声で言った。
顕「…そうだよな。気にしないで。シフト入ってたわけじゃないんだし、来なくて当然だよ」
貴「顕嵐…」
顕「今日は何してたの?」
彼女がここに来るのが
ただそれが仕事だからなんて
自分で言ったくせに思いたくなくて…
誤魔化すように話題を変えた。
貴「…普通に学校よ」
顕「そっか。あっ、そうだ。Aの友達どうしてる?あれ以来会ってないから会いたいな」
貴「また機会があったらね」
再び黙る俺ら。
Aと一緒にいると
ドキドキしてしょうがない。
本来なら楓に感じるべき感情なんだろうけど
俺の気持ちはこっちにある。
顕「ちょっと散歩しない?」
貴「えっ?でも…」
顕「大丈夫だから。行こっ」
俺は無理矢理Aを連れ出した。
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作者名:千織 | 作成日時:2017年2月20日 18時