12.貴方side ページ13
A「黒羽君!…黒羽君ってば!」
急に目の前が真っ暗になったと思ったら、どういう訳か黒羽君に手を引かれ走っている私。いや、意味が分からないんだけど…
A「ねぇ!黒羽君!一体どこ行くのよ」
快斗「いいからついてこいって」
ついてこいって言われましても…
あっという間に校門を抜け、商店街を通り過ぎ、私たちはレストランに着いた。
A「ここって…」
快斗「予約していた黒羽です」
店員「黒羽様ですね。こちらへどうぞ」
快斗「あっ、その前に中庭に行ってもいいですか?」
店員「ええ、構いませんよ」
店員さんに案内されて中庭に向かう。その間も戸惑う私を無視して鼻歌なんて歌っちゃって。一体何がしたいんだ?
A「ちょっと黒羽君、ここすごく高いんじゃないの?」
よく父さんと母さんがデートで使ってたぐらいだし…
快斗「心配しなくていいから。それより見ろよ」
そう言って開かれたドアの先には何本もの桜の木。いつか見たときのように、風に揺れて花びらが空中を舞っていた。
快斗「覚えてないかもしれないけど、ここ…」
A「私たちが初めて会った場所、でしょ?」
黒羽君の言葉を引き継ぐ。場所までは覚えてなかったけど、確かにここだった。
快斗「ああ…なんでそれをお前に見せたかったかというと…」
A「…?」
顔を真っ赤に染め、手で口を隠すようにしながら黒羽君が何かを言っている。でも、小さ過ぎて何を言っているかまでは分からない。
A「ごめん、黒羽君。もう少し大きい声で言ってもらえる?」
私がそう言うと、黒羽君は意を決したように口を開いた。
快斗「好きなんだよ!初めて会ったときからずっと…お前のことが」
好き……黒羽君が私を…
何だ…この人も結局は同じなのね。
快斗「返事は今すぐじゃなくていいから」
A「うん、ありがとう黒羽君。ゆっくり考えさてもらうね」
快斗「…おう!よっしゃ!言いたいこと言ったら腹減った。Aは何食いたい?母さんのカード持ってきたから遠慮はいらねぇぞ」
A「本当?じゃあ1番高いの頼んじゃおうかな〜」
黒羽君、どうやら私の見込み違いだったようね。
いいえ、そもそも期待なんかしてた私が馬鹿だったの。私が望むものをくれる人なんてこの世にはいないんだから。
ん〜、何だか暗くなりそうな予感が…by作者
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魔理沙 - 続きが気になります!更新無理のない範囲で頑張ってくださいね! (2019年5月4日 7時) (レス) id: 28703d16e4 (このIDを非表示/違反報告)
ねこみみ - 早く続きが読みたいです!きゃー(ハート)(≧∇≦) (2017年7月29日 18時) (レス) id: c869ec7dba (このIDを非表示/違反報告)
千織(プロフ) - 欠月さん» ありがとうございます!頑張ります! (2017年5月4日 23時) (レス) id: 5dae7a5f95 (このIDを非表示/違反報告)
欠月(プロフ) - 面白かったですッ!これからが楽しみ/// (2017年5月4日 20時) (レス) id: 3f5aeeaaec (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:千織 | 作成日時:2017年5月4日 19時