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『どうにかならないの殺せんせー…！』
「触手は…意志の強さで動かすものです。イトナ君に力や勝利への病的な執着がある限り触手細胞は強く癒着して離れません」
ぐったりと横たわっているイトナくん。
私の言葉に冷静に返した殺せんせーはそうこうしている間に肉体は強い負荷を受け続けて衰弱していって最後は触手もろとも蒸発して死んでしまうと説明した
『なにそれ…』
「…それはいくらなんでもかわいそーだな」
三村がそう呟く。
他の面々も気の毒そうに黙っていた。
「後天的に移植されたんだよね？」
「ええ」
『じゃあなんとか切り離せたりしないの？』
一息吐いてから私が聞くと、殺せんせーは答える。
「彼の力への執着を消さなければ…そのためには、そうなった原因をもっと知らねばなりません」
「でもなー…この子心閉ざしてっから」
「身の上話なんて素直にするとは思えねーな」
莉桜や前原の言う通り、正気を取り戻しても話してくれるタイプじゃないよなあ…うーん…、
『どうしたら懐いてくれるか…』
「動物や子供じゃないんだから」
『やっぱバーベキューじゃない？』
「それお前が肉食べたいだけだろ」
いいから喋んな、と前原のチョップを食らった私は「それもあるけどたった3割くらいだわ！！！」と返す。
みんなでバーベキューしたいだろ！！！！楽しいだろ！！
「あ、あの、そのことなんだけどさ」
私たちがそんなやり取りを繰り広げる中、不破さんはスマホを片手に割り込んだ。
「気になってたんだ、どうしてイトナ君はケータイショップを襲ってたのか。で、さっきまで何度か律とやり取りしてたんだ」
機種や戸籍…彼に繋がるものを律に調べてもらっていたらしい。
さすが名探偵不破さんだ。
「そしたら堀部イトナってここの社長の子供だった」
『ぅおえ！？社長の息子！？』
ぎょっとする私のスマホにも通知が届く。
開けば、そこにはある会社のことが載せられていた。
「世界的にスマホの部品提供してた町工場だけど、おととし負債抱えて倒産しちゃって…社長夫婦は息子残して雲隠れだって」
『アッ…そ、そうなんだ…はは…』
「わかりやすく気まずそうにすんな」
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