240. ページ44
·
結局あの後、私たちも先生も…防衛省の方々も、イトナくんを見つけることは出来なかった。
クッソ、にしてもシロの奴は絶対に許さねえ。自分のことしか考えてねーんだな。ゴミ野郎。
心の中で悪口を唱えながら自席で紙パックのココアを飲む。
《椚ヶ丘市内で携帯電話ショップが破壊される事件が多発しています!あまりに店内の損傷が激しいため警察は複数人の犯行の線もあると───…》
さっきから隣で流れているニュース。
私は何も考えずに聞いていたんだけど…、
「これ…イトナの仕業……だよな?」
みんなはイトナくんの仕業だと気づいている様子だった。
あ、私?
もちろん言われるまで気づかんかったわ。
「…ええ。使い慣れた先生にはわかりますが、この破壊は触手でなくてはまずできない」
「…どうして携帯ショップばかりを?」
不破さんが不思議そうに言う。
うーん、確かになんでだろう。
紙パックのゴミをくしゃりと潰した私は口を開く。
『イライラしてなんかものに当たったら偶然携帯ショップだっただけかもしれないよ』
「Aお前ボケてる場合じゃねーから」
『ボケてないんですけど』
前原に冷たく言われる可哀想な私。
なにも悪いことはしていないはずなのになあ。
「担任として責任を持って彼を止めます。彼を探して保護しなければ」
『私も手伝う!!』
「助ける義理あんのかよ殺せんせー」
『はへ?』
息巻いていた私は、岡島の言葉にキョトンとする。
てっきりみんなで探そう!みたいな雰囲気になると思っていたから。
「つい先日まで商売敵だったみたいなやつだぜ」
「あいつの担任なんて形だけじゃん」
『ええ…』
みんなの口から出てくるのは否定的な意見ばかりで、助けを求めるわけじゃないけどちらりと隣の席のカルマを見る。
カルマはだらりと背もたれに体重をかけ、イチゴ煮オレを片手に「俺も放っといた方が賢明だと思うけどね」と口にした。
だとしても…
『えー、でもやだよ助けたいもん』
「A、肩入れしすぎじゃね」
『はーーーーあ?どこまで肩突っ込むかなんて私の勝手でしょ!?あんな光景見せられて放っておけって方が無理だっつーの!!』
前原はあの現場に居なかったから知らないかもだけどさ!!!でもさあ!!!
268人がお気に入り
この作品を見ている人にオススメ
「赤羽業」関連の作品
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ