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歩くのが遅かったのか、はたまたカルマたちが速かったのか。
私たちの次のペアだった2人は追いついてしまったようだった。
「だ、大丈夫ですか2人とも…!」
『奥田さん…』
すぐに起き上がって気まずそうに頬を搔く前原。私もそれに続いて起き上がろうとするものの、横腹に痛みが走って「ガッ…」と変な声を出してしまう。
「いや、カルマ…勘違いすんなよ、ただの事故だからな」
「別になんも疑ってないし。ほらA、早く立って」
『もっと労わって』
慌てて弁解しようとする前原にカルマは淡々といつもの調子で返すと、私に手を差し伸べた。
その手をぐっと掴んで立ち上がる私。
「重」
『黙れ』
そのまま手を繋いでスタスタと歩き出すカルマに手を引かれ、私は「ちょ、まっ、え???」と途切れ途切れに問いながらも進んでいく。
『カルマ!ねぇ!』
「なに?」
『奥田さんと前原置いてきちゃだめじゃん!』
私がそう言うとカルマは立ち止まる。
こちらを振り返ったかと思えば、にっこりと口角を上げた。
「あっちでなんとかするでしょ」
『お前笑ってんの怖いんだけど。そんなに私と回りたかったのかなあカルマくんは!』
「埋めるよ?」
『いだっ、痛い!縮む!』
ガシ、と頭を掴まれ言葉の通り地面に埋めようとしてくるカルマの手をバシバシと叩く。
まだ肝試しの半分も終わってないのにこんなところで埋められて溜まるか!!!!
少ししてやっと離してもらえたところで、私はカルマの肩をグーで殴る。
『お前贅沢なんだよ!できるなら私だって奥田さんと回りたかった!』
「ハイハイ、今度お化け屋敷でもついてきてもらったら」
『それならメリーゴーランドの方がいいかなアハハ』
「ふーん…じゃあ次のデートは遊園地だね」
『誰がお前と行くって言った?』
…ていうかなんなんだこいつ。
なんかモヤモヤする。さっきあんなことがあったから怒られるのかと思いきやなんも言ってこないし。
『ねえカル……ひあっ!!』
「…え?」
カルマの袖を引いた時だった。
ピトリと首筋に濡れている何かが当たって、思わず悲鳴をあげてしまう。
「なんつー声出してんの」
『や、あの…首筋になんか…』
サッと血の気が引くのがわかった。
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