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「きょ…今日の授業は、ここまで…」
冷たい雰囲気の教室からとぼとぼと出て行った殺せんせー。
いつもの数倍静かな教室。無駄に自分の声がでかいということに気付かされたわ。
「あっはは、今日1日針のムシロだったねー。居づらくなって逃げ出すんじゃね?」
『最初はドン引きだったけど後半に行くにつれてしょんぼりしてんの可愛く思えてきた』
もちろん顔色も悪く声のトーンもいつもより弱々しい殺せんせーはきちんとムービーに残しておきました。元気ない時に見よう。性格悪いとか言うなよ。
「でも殺せんせー本当に犯ったのかな、こんなシャレにならない犯罪を」
『いやいや、そんなん地球爆…』
「───地球爆破と比べりゃかわいいもんでしょ」
『被せんな』
ヘラヘラ笑うカルマに「そりゃ、まあ…」と納得した様子の渚。
「でもさ、仮に俺がマッハ20の下着ドロだったら」
『それは私が許さない』
「仮にだよ馬鹿」
呆れたように私を横目で見るカルマ。
いや私も仮にのつもりで言ったんだけどな。
おっと、これはまた余計なこと言ってしまったのか。
『わかってるけどね、カルマがそんなことしないって』
「急にデレてんの?」
私はブンブンと首を横に振る。
デレたつもり?1ミリもありませんけど?
「えっと…どこまで話してたっけ?」
『もしも仮にのとこ』
「ああそう。仮にマッハ20の下着ドロだったら急にこんなボロボロ証拠残さないけどね。見てみ渚くん、体育倉庫にあったボール」
カルマが持っているのは女性用の下着がついたバスケットボール。
『いいかカルマ。それはお前が気安く触っていいもんじゃねーんだ』
「A。いい子だから黙ってて」
『うっす』
私が頷いたのを確認してカルマは続ける。
「こんなことしたら、俺らの中で先生として死ぬことくらいわかってんだろ」
あの教師バカの怪物にしたら私たちの信用を失うことをするなんて暗殺されんのと同じくらい避けたいことだと思うと話すカルマ。
私はもちろん、渚もそう思うと頷いた。
「でも渚、そしたら一体誰が…」
「偽よ」
口を出したのは不破さんだった。
彼女が言うには、この一連の事件は偽物の殺せんせーの仕業だと。
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