232.執着の時間 ページ36
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『おはようみんな!2日連続遅刻してない私を褒めてくれても…』
私は教室に入るなり首を傾げる。
なぜならみんなが教卓の前に集まって何かを見ていた様子だったから。
『皆で新聞なんか読んでどうしたの?』
ちなみに私は新聞好きじゃないです。
字が小さくて読めない。あと手が黒くなる。テレビ欄しか見ない派の人間です。
「新聞、見てないの?」
「A、これ見て」
みんなはどうも言えないしかめっ面を浮かべていた。
そんな中、莉桜が私に見せてきたのは下着泥棒が出没したという記事。
『やだねえ、下着泥棒とか。大体そんなもん盗んで何に使うんだか』
「そこじゃなくて…」
陽菜乃ちゃんがゆっくりと指差したのは犯人の特徴が述べられているところ。
よく見ると、その特徴は私たちのよく知ってる…
『殺せんせーじゃん!!』
…と、私が声を発したところで教室のドアが開いて入ってきた殺せんせー。
う、わ…、
「汚物を見る目!?」
『私の半径25メートル以内に近づかないでね殺せんせー』
「そんな無茶な!!」
いつもの3割増くらいに辛辣な私の言葉にツッコミを入れる殺せんせー。
そんな先生に、莉桜はさっきまで私に見せていた新聞を突きつけた。
「多発する巨乳専門の下着ドロ、犯人は黄色い頭の大男、ヌルフフフ…と笑い現場には謎の粘液を残す」
殺せんせーはその記事を見ながら青ざめてワナワナと震えていた。
「これ完全に殺せんせーよね」
「正直ガッカリだよ」
「こんなことしてたなんて…」
三村やひなたちゃんも。
みんなは軽蔑したような目線を殺せんせーに向けていた。
「ちょ、ちょっと待ってください!先生全く身に覚えがありません!」
「じゃ、アリバイは?」
「アリバイ?」
そんな殺せんせーに、速水さんはこの事件があった昨日深夜どこで何をしていたのか尋ねる。
少し考えた殺せんせーは思い出したように喋り出す。
「高度1万メートル〜3万メートルの間を上がったり下がったりしながらシャカシャカポテトを振ってましたが」
「「誰が証明出来んだよそれを!」」
『いいな私もシャカシャカポテト食いたい』
「ややこしくなるからお前は余計なこと言うなA」
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