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やばい。
やらかしてしまった。
『……はぐれた』
前原と磯貝くんと共に回っていたものの、この人混みだ。呑気に綿飴を買っていたらはぐれてしまった。
くっそ、花火上がるから人も多くなってきてんのか。
『…可哀想な私、1人で花火かよ』
もふ、と綿飴を食べたところでグイッと肩を引かれた。
『ぅあ…え?』
てっきり前原か磯貝くんだと思ったが、そこに居たのは全く知らない人。
またこのパターンかよ。
「君、1人なのー?」
「1人でお祭りなんて寂しくない?」
1人でお祭り回ってる人もいっぱいいるだろ!寂しいって決めつけんな!!くそ!!!
…とは口に出さなかったものの。
『や、寂しくないです』
「そんなこと言わないでさ、俺らと一緒にどう?」
『大丈夫、私のことは気にせず』
ツンとそっぽ向いて私は誰かしらを探そうと歩く。
しかしまたもや肩を掴まれた。
『もう、しつこいな────って』
「いいモン持ってんね、俺にもちょーだい」
『なんだカルマか』
私の肩に手を置いていたのは紛れもないカルマだった。なんだよ、と息を吐いたところで彼は私の綿飴に顔を填めた。
『あぁっ!ちょっと!良いって言ってない!』
「いいじゃんこれくらい」
『私の綿飴ちゃん…っ!』
「大袈裟」
『食べ物の恨みは大きい』
くそ〜〜〜、とカルマを睨みつけてみるけど、私のことは気にもせずに「あ、射的とかやる?マッハ200の超生物狙うより全然よゆ〜」なんて笑っている。
『じゃあ今から射的で勝負な!!私が勝ったらかき氷とフランクフルト奢って!』
「…いいけど、俺に射撃成績勝てたことないのにどっからその自信湧いてくんの」
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『うぅ…くぅ…』
「なんで負けるの分かってて挑めるの」
結果は私の負け。射的のおっさんと一緒にガックリと肩を落とす私に、カルマはケラケラ笑ってる。死ね。
「ま、Aが浴衣で来てくれたことに免じてかき氷くらい奢ってやるよ。ほら」
『カルマ…!』
「で、今までは何食べてたの」
『焼きそばとたこ焼きとりんご飴とチョコバナナと綿飴しか食べてない』
「さすがに引くんだけど」
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