２０８． ページ12
「相変わらず何でもそつなくこなすな、磯貝」
『わ！さすが我らが委員長…っていうかすごすぎる』
次々と金魚を救っていく磯貝くん。普通の人の技じゃない。まじですごい…何匹だこれ…。
「コツだよ。ナイフで斬る感覚と結構近いぞ」
『あっれぇ、私にはできないのはなんでかなぁ。ナイフ得意なはずなのに』
「お前はガサツだからだろ」
『泣いた』
暫し前原と不毛な会話をしているうちに、ふと磯貝くんの手が止まる。
「こんなもんかな…うち貧乏だから百円で一食分浮いたのはありがたいわ」
「そっか」
『………』
違和感を覚え、私は前原と顔を見合わせる。
きっと考えていることは同じだろう。
「『(え、食うの！？)』」
えー、金魚って食べれるんだ…そっか…。
色々ツッコミたいところはあるけれど磯貝くんが嬉しそうなので良しとしよう。
『なんか金魚の話してたらお腹空いてきた』
「金魚の話でお腹空くお前どうかと思う」
『よし！たこ焼きと焼きそばと綿飴食べる！じゃあ2人ともアディオス！』
「え、お前1人で回ってんのかよ」
2人にくるりと背を向けると、前原に止められる。それに続いて磯貝くんも「カルマとじゃないのか？」と金魚を詰めた袋片手に尋ねた。
『あいつなんかくじ引き屋のおっさんいびってたからね。知り合いだと思われたくないし1人で回ってた』
「ふーん…迷子なるぞ」
『小学生か』
「迷子じゃないけど…1人じゃ危ないんじゃないか？」
磯貝くんが心配そうに私を見下ろすから、私は横髪を弄りながら「うーん」と首を捻る。
今からカルマ探すのもなんかなぁ。
「んじゃ、俺らと回るか？」
『えー！前原くん奢ってくれるの？だぁいすき！』
「おい」
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