197.肝試しの時間 ページ1
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私たちの大規模潜入ミッションは、ホテル側の誰1人気づかないまま無事に完了した。
みんなの待つホテルに着いた頃にはもう夜が明けそうな頃で。食中毒に感染したみんなにもう大丈夫だと伝え、栄養剤を渡し、
…疲れた私たちは泥のように眠って、起きたのは翌日の夕方だった。
『あっらぁ、これはこれは食中毒に感染してぶっ倒れてた前原くんじゃないの〜〜』
「うるっせえな、お前こそ怪我して帰ってきやがって。つか起きるの遅いんだよお前」
『誰も起こしてくれなかったんだもん!』
私が目を覚ました頃にはもう誰も布団には居なくて、ほんとに今ちょうど顔を洗って髪の毛を整えてホテルを出てきたところだ。
前原と並んでみんなの居るところへと歩く。
『もう元気?』
「おうよ。ピンピンしてるわ。お前こそ」
『私は誰かさんと違ってずっと元気だもん』
「顔に絆創膏つけて両腕に湿布つけて何を言う」
『うるさいな、元気だっつってんでしょ!』
「いってえ!」
グーで軽く肩を殴ろうとしたつもりが、勢い余って前原の頬にクリーンヒット。
頬を押さえながら「殴ることねーだろ!!」と騒ぐ前原に「めんご」とだけ残して渚の方へと駆け寄った。
『なにあれ…』
「あの中に殺せんせーいるんだよ」
渚の説明によると、ダメ元だけど戻ったときに殺せるようにガッチリ固めて置くんだとか。
なにより不眠不休で指揮をとってるらしい烏間先生が怖い。すげーな。
少しすると大きな爆発音が響いて地面が揺れた。
みんなが「爆発したぞ!」「殺れたか!」と立ち上がるが、結果は薄々分かっている。
「先生の不甲斐なさから苦労させてしまいました。ですが皆さん、敵と戦いウイルスと戦い、本当によく頑張りました!」
ぽん、と柔らかい触手が頭に置かれる。
ですよね〜。
「おはようございます、殺せんせー。やっぱ先生は触手がなくちゃね」
『キモイけどね』
「Aさん!起きるなり罵声って…」
しくしくと泣き出す殺せんせー。忙しいな。
「気を取り直して、旅行の続きを楽しみましょうか」
『もう夜だけどね』
「そうだよ殺せんせー。明日は帰るだけだし」
みんなが口々に言う。
殺せんせーは「ヌルフフフ、夜だから良いんですよ」と笑った。
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