９８． ページ49
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「ふぃーっ…なんとか追っ払えたな」
『ぶっ…あっははっ……ちょ、杉、野……ふぃーっって…おっさんかよっ…ははっ…ひっ……あははっ』
みんながほっと息を吐く中、変なところでツボに入った私はカルマの隣で笑い転げる。
杉野が「お、俺そんなに面白いこと言ったか？」なんて目をぱちくりさせる。
私にとってはめっちゃ面白いんです。どこがって言われたら答えられないけど。
「そーいや寺坂くん、さっき私のこと散々言ってたね。ヘヴィだとかふとましいとか」
私が笑いすぎて溢れた涙を拭ったとき、寺坂の後ろに回った原さんが囁くような声でそんなことを言ってるのが聞こえた。
寺坂はサッと青ざめると素早く退く。
「い、いや…、あれは状況を客観的に分析してだな」
「言い訳無用！動けるデブの恐ろしさを見せてやるわ！」
そういうこと言うから悪いんだよね、寺坂。
何一つ言い訳になってないし失礼なことには変わりありません。バーカ。
『私知ーらない』
「あーあ、ほんと無神経だよな寺坂は。そんなんだから人の手の平で転がされんだよ」
「うるせーカルマ！テメーもAも高い所から見てんじゃねぇ！」
横でニヤニヤと笑っていたカルマは…、
「ぶ」
『おわっ！』
…寺坂に胸ぐらを引かれて見事にプールに落ちた。
その際に、見事にカルマにぶつかった私はバランスを崩して共に真っ逆さま。
浅いからもちろん溺れないけど！
せっかく乾きかけていた制服はカルマのカーディガン含めてぐっしょり。
「『はぁぁあ！？』」
むくりと起き上がった私とカルマの声が見事に重なる。
「何すんだよ上司に向かって！」
「誰が上司だ！触手を生身で受けさせるイカれた上司がどこにいる！」
『いや、カルマは分かるけどなんで私も巻き添え食らってんの！？』
教室戻ったら二人揃ってジャージに着替えなきゃいけないじゃん！！つか私さっきまで死にかけてたんですけど！！何回も言うけど！！
「Aさん…だ、大丈夫ですか？」
『あぁぁ…奥田さん………ほんとに天使だわ』
奥田さんが手を差し伸べてくれてるよ。天使ですか。
あざます。手暖かいです。
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