８７． ページ38
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「おお、寺坂くん！今日は登校しないのかと心配でした！！」
殺せんせーの声にドアの方を見てみると、寺坂が居て、先生にグイグイと詰め寄られている。
どんどん寺坂の顔が殺せんせーの鼻水まみれに…、
汚っ…！
「昨日君がキレた事ならご心配なく！もうみんな気にしてませんよね？ね？」
「う…うん。汁まみれになっていく寺坂の顔のほうが気になる」
『相当気になる…っていうか汚い』
だってアレ鼻水でしょ？
もしも自分が…って考えるだけで気持ち悪いんですけど。
「昨日一日考えましたが、やはり本人と話すべきです。悩みがあるなら後で聞かせてもらえませんか？」
『悩み？ただの反抗期じゃねーの？』
「お前無駄なこと言わんでいい」
前原の呆れた声に私は喋るのを辞め、紙パックのココアを飲みながらも寺坂の話を聞くことにした。
…はいはい黙ればいいんでしょ。
「…おいタコ、そろそろ本気でぶっ殺してやんよ。放課後プールに来い。弱点なんだってな、水が」
殺せんせーのネクタイで自身の顔を吹いた寺坂が睨み上げる。
「テメーらも全員手伝え！俺がコイツを水ん中に叩き落としてやっからよ！」
そんな寺坂の声に、反応する者は居なかった。
そりゃあみんな、急にそんなこと言われて行きたくないよな。
ちなみに私もプールって時点で行きたくない。
「…寺坂、お前ずっと皆の暗殺には協力して来なかったよな」
静かになってしまった教室で、口を開いたのは前原だった。ガタンと席を立った彼が寺坂の方を見る。
「それをいきなりお前の都合で命令されて、みんながみんなハイやりますって言うと思うか？」
『そーだそーだ、我らが委員長困らせた罪は重いぞ』
前原にはジト目で見られたが気にしないです。
いちいちあんな女たらし気にしたくないもーん。
「ケッ！別にいいぜ来なくても。そん時ゃ俺が賞金百億独り占めだ」
ピシャリとドアを閉めて去っていく寺坂。
…めちゃめちゃ自信満々じゃん、どうした。
「……なんなんだよあいつ」
「もう正直ついてけねーわ」
寺坂グループの2人も怪訝そうな表情を浮かべている。…そりゃね、あんな自己中なこと言われてもね。
「私行かなーい！」
「同じく」
「俺も今回はパスかな」
次々に飛び交う言葉は、非協力的なものだった。
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